風吹き抜ける大地U
□夏の風物詩
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オーレ地方にも季節というものは一応ある。
だがどうしても季節感は乏しく、その季節独特というものはほどんどない。
「ほら、これでどうだ?」
「ありがとー!」
レオが持ってきたものを見て、マナが歓声を上げた。
「悪いね、レオ」
「別に構わない。何せ……」
「よーし、夜になったら早速やろうね!」
「あんなのがいるからな」
溜め息をついて、マナと一緒になって喜ぶミレイを見る。
「レオさん、何を持ってきてくれたんですか?」
リュウトには何も知らされていなかったらしい。
クレインがマナにせがまれ、困ってレオに頼んだのだ。
「花火だ」
「花火?」
リュウトも知識でしか知らないもにに、首を傾げる。
「レオがわざわざ他の地方で売ってたのを仕入れて来てくれたんだ。夜になったらやろうね」
「……はい!」
やはりリュウトもまだまだ子供。
なかなかお目にかかれないものへの期待で目を輝かせた。
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