風吹き抜ける大地U
□幻影を操る者
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少なくともその日、別段と変わったことはなかった。
そのテレビを見るまでは。
バッカーというスポーツが最近流行っている。
ポケモンが3対3でボールをゴールに入れて得点を競うというスポーツだ。
何でももうすぐ大きな大会があるとかで、ミレイも何となく見ていたのだが、レオは興味を示さなかった。
だがとあるチームが出てるのを見て、顔色が変わったように思えた。
そのチームはライコウ、エンティ、スイクンの3匹を使っていた。
もちろん一番の優勝候補だ。
「……バッカー、だったか? このスポーツ」
「え? 確か、そうだったけど……やっぱりレオも気になるの?」
「ああ」
テレビでは先ほどの試合のリプレイが流されていた。
ライコウ、エンティ、スイクンが圧倒的な強さで相手チームを下している。
「この人、すごいよね……」
「……下らん」
レオが目を細める。
「……レオ?」
「この男、とてもこの3匹を従えられるような器には見えないな」
普段はドライなレオだが、ポケモンに対しては正義感がかなり強い。
「……もしかして、インチキ?」
だとすると、ポケモンを利用してのイカサマを許せないのだろう。
「……大会が開催されるのはクラウンシティだったか?」
「うん、そうだけど……」
「……来るか?」
「行く!」
すぐにミレイは頷いた。
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