風吹き抜ける大地U
□少女と青年と
1ページ/4ページ
ここはオーレ地方のポケモン研究所。
ミレイとディア、ニュイはアゲトビレッジに置いてきたためここにいない。
本来ならポケモンを預けるのはこのオーレ地方では自殺行為なのだが、彼らも疲れていたしたまにはリフレッシュさせたかったのだ。
それにレオなら例え盗賊に襲われたところで問題はない。
クレインはこれからまたもや暗躍しはじめたシャドーに対抗するためスナッチマシンを作るつもりでいる。
そのためレオもスナッチマシンになるかもと思い、ずっと預けていた5年前に使用していたスナッチマシンを受け取りに来たのだが、どうやら他の研究と並行しているため予想以上に時間がかかっているらしい。
もう少しで出来るからと待たせてもらっているのだが……手持ち無沙汰になってしまった。
ということで、クレインがスナッチマシンを渡す予定のトレーナーを見てみることにした。
その少年はバーチャルでポケモンバトルをしている。
「……やはり実際のバトルを見なきゃな」
筋はいいが、少年の手持ちでどこまで行けるのかが不安だ。
気付かれないうちにここを離れようとしたところで、じっと見つめてくる視線に気付いた。
「……何か?」
視線の主はまだ幼い少女だった。
「お兄ちゃん……誰?」
自分の容姿が悪い意味で目立つことを自覚しているレオは、少女が物怖じせずに話しかけてくることに驚いた。
「……俺はクレイン所長の友人だ。用があって待たせてもらっている」
「所長のお友達? ならマナのお友達だね!」
「……は?」
「お兄ちゃんのジャマしちゃいけないって言われてね、マナ暇なの! ねえお兄ちゃん、遊ぼう!」
そう言うなりマナはレオの手を引っ張った。
「おい」
抵抗できないはずはないのだが、このような子供を無碍に扱うことも出来ない。
仕方なく、レオはマナというらしい少女に連れられることとなってしまった。