風吹き抜ける大地U
□弊害
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ミレイが独りで出歩くということはまずない。
シャドーを壊滅させたからといって、ミレイが狙われるかもしれないという可能性が消えたわけではないのだ。
だからといって、レオが四六時中ミレイについているわけではない。
何せレオの容貌はいい意味でも悪い意味でも目立つ。
その美貌は嫌でも注目を集めるし、知る者が見れば指名手配の元スナッチ団だと身元が割れるだろう。
もちろんあっさりバレるようなヘマはしないし、捕まるような下手をするつもりもないが。
だからなるべくミレイ1人で済む買い物にはニュイかディアがついている。
それでもミレイの手に余るような買い物の場合はレオ自らが出向くしかない。
「毎度〜」
表通りにあってもおかしくない店が扱っているのはその実非合法なもの。
つまり拳銃や火薬の類だ。
いくらなんでもこれをミレイに頼むわけにはいかない。
蛇の道は蛇というか、分かる者にはレオの実力の一端を垣間見えるだろう。
ミレイと行動を共にするようになってからなるべく使用を控えているが、それでも消耗品。補給を怠るわけにはいかない。
紙袋を懐にしまってから表通りに戻る。
「……さて」
息を吐いて意識を張り巡らせようとして……。
「あ、いたいた! レオ!」
大声で名前を呼ばれた。
とたんにレオは苦い顔をする。
名前を大きな声で宣伝するような行為をレオは嫌っていた。
やって来たのは案の定ミレイ。
足下にはディアとニュイもいる。
「何度言ったら分かる。名前を……」
「連呼してないからいいでしょ?」
「そういう問題ではない」
「別にいーじゃん」
ただでさえ目立っているのに、ミレイのせいで余計に注目を集めた。
「………」
「……勝った」
何を勘違いしたかミレイがガッツポーズをする。
「……呆れただけだ。減らず口は達者だな」
「そりゃ、レオと付き合ってたらね」
「……なるほど」
「って、何納得してるのよ!」
「……いや、お前みたいな奴でも成長するのだなと。これで少しは大人になったな」
「〜〜私はとっくに大人よ!」
「……そうか? あまりにも精神年齢が幼くて気付かなかった」
「なんですって!?」
『……勝者レオね』
『ミレイがレオに口で勝てるとは思えないよな〜』
ディアとニュイが頷き合う。