満月の夜に
□息子が反抗期になりました
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「もういい! 父さんの馬鹿!」
バタンと乱暴に扉が閉められる音がした。
ようやく終わったらしい、とダンテは足音を消して階下のリビングまで下りて行った。
リビングには、立ち尽くしているバージルがいた。
予想通り……というより予想以上にショックを受けているらしい。
「……おーい、アニキー。オニーサマー、大丈夫か?」
目の前で掌を振ってやるが、バージルは無反応。
「馬鹿……父さんの……馬鹿……馬鹿……父さんの……」
「……あっちゃー」
思わず頭を抱える。
傍目からはそうは見えないだろうが、バージルはこれで子万能だ。
大切な息子から暴言を吐かれ、茫然としている。
「……バージルのバーカ」
とたんに幻影剣が飛んできた。
「何だよ! ちゃんと聞こえてるんじゃないかよ!」
「黙れ。……そうか、貴様がネロによからぬことを吹き込んだのだな。そこに直れ、今なら殺すだけで済ませてやる」
「おいおい、濡れ衣だって! 俺は別に坊やに何か……したかもしんねえけど」
「Die」
「ちょっ!?」
流石のダンテも避けきれないほどの幻影剣が飛来する。
リベリオンを持ってないダンテは、仕方なくエボニーとアイボリーを乱射して幻影剣を撃ち落としていった。
「ハッ、落ち着けよオニーサマ! そうじゃなくても俺は殺せないぜ!」
よせばいいのに、バージルを挑発するような軽口を叩く。
「Scum」
「Ha-ha! C'mon!」
当初の目的はすっかり忘却の彼方となった。
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