風吹き抜ける大地V

□隠れんぼしましょ
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「ねーねー! 隠れんぼしよ!」

マナのそんな言葉にある者は苦笑いし、ある者は無邪気に目を輝かせた。

「マナ。今は忙しいんだから……」

「ん、いいんじゃない?」

娘を窘めようとするリリアを、クレインは制した。

「おい、クレイン……」

「まあ、急ぎの用じゃないし遊んだら?」

マサの抗議の声を遮って、クレインがそんなことを言った。

「所長、ごめんなさい……」

「よし、リュウトも遊ぼう!」

ミレイが頭を下げようとするリュウトの肩を叩く。

「ね、レオ!」

さらに話を振られ、レオは溜め息をつく。

「……隠れんぼ、をか?」

レオはミレイ、リュウト、マナと視線を移していき……渋面を浮かべた。

「……無理だろ」

「無理って何でよ! 隠れんぼくらい出来るに決まってるじゃない! ねえ?」

「ええ、まあ……」

「もっちろーん!」

それでもレオは表情を変えなかった。

「あはは。レオ、勘違いしてるよ」

「勘違い?」

クレインは笑みを浮かべながら、ミレイたちを見た。

「こいつん中じゃルールが違うんだよ」

「隠れる方はどれだけ気配を上手く消して鬼から隠れられるか、鬼はどれだけ敵の気配を探れるかってゲームなんだよ」

笑ってマサがレオの肩を叩く。

「気配って……」

「何ですかそれ……」

ミレイとリュウトが絶句してレオに視線を移す。

「だから、その辺りの心得がない3人じゃ勝負にならないって言ってるのさ」

「だってそうだろうが。見つけられないようにするためにはその程度出来なくてどうする」

真顔で言い返すレオを見て、ミレイも笑いを抑えられなくなる。

「レ、レオ……変なところで天然っていうか……」

考えてみればスナッチ団で隠れんぼをするわけがない。

知らないのも当然なのだろう。

「……レオ、これは子供のお遊び。気配を消さなくていいんだから」

「……そういうものなのか」

どこか釈然としないものを感じながら、レオは納得した。
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