風吹き抜ける大地V

□その思い
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「あ」

ミレイには何が起こったのか分からなかった。


それは、オーレ地方のとある宿屋についたときのこと。

2階に用意された部屋に行くために階段を登っていた……はずだった。


すでに階段を登りきっていたディアとニュイも動けない。



足を滑らせた。



そう思う前にミレイの体は転げ落ちていた。

「ミレイ!?」


それも、ミレイの後ろにいたレオを巻き込んで。






あまりにも突然のことで、レオも動けなかった。


とっさにミレイをしっかりと抱きしめ、共に階下へと転がり落ちる。

『レオ! ミレイ!』

『ちょっと、大丈夫!?』

慌ててディアとニュイが2人の元に駆け寄った。

「わ、私は大丈夫……」

ミレイはすぐに身を起こす。


落ちたはずなのに痛みがまったくないのは、レオが庇ってくれたからだろう。


「……レオ?」

だが、そのレオは体をピクリとも動かさなかった。

「レオ……レオ!?」

目を開けないレオの肩をミレイが揺さぶろうとする。

『動かさないで!』

それを制したのはディアだった。

『脳震盪を起こしてる。ミレイ、すぐに部屋の鍵開けて』

「え、でもレオは……!」

『レオは私が運ぶから! すぐに人が来るわ!』

ミレイは一瞬だけ躊躇ったが、すぐに頷いて階段をまた上がり始めた。

ディアも意識を取り戻さないレオの体を念力で浮かせ、後に続く。


物音に気付いた宿の人間が来たときにはもう、ミレイたちは部屋に入っていた。









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