風吹き抜ける大地V

□宝を求めて……
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命を狙われたことは何度もある。

その度にレオは返り討ちをしてきた。


「チッ」

その空間を見てしまい、レオは舌打ちをしてしまう。


シャドーを壊滅させてから、この類の輩に命を狙われることが増えてきた。


シャドーの活動は「その筋」ではかなり有名だった。

ジャキラといいワルダックといい、「そういう」知識はあったに違いない。


そして、いくらレオでも隠し切れない情報があるということだ。

狙われても仕方ないとも言える。

『レオ、これって……?』

ニュイの模様が明かりのない部屋に浮かぶ。


知識のない者には奇妙な紋様にしか見えないものが至るところに刻まれていた。


鉄錆の臭いが鼻につく。


レオは床に刻まれた文様に触れた。


それが何を意味しているのか、ニュイに詳しい知識はない。



これは遥か昔に廃れ、今ではほとんど使われていない術式なのだから。

それでも受け継ぐ者がいるのは事実。


レオを狙うのは大抵がそういう者たちだ。



「……これは……」

『どうかした?』

「……少し、早まったかもしれんな」

レオは視線を物言わぬ物体にちらりと向けた。

『これがどうかしたの?』

「……術式は理解した。だが目的が理解できん。何をするつもりだったのか……何かの召還らしいがな」

『それ、放っておいて大丈夫なの?』

「……独立型だからな。術者の生死に関わらず、このトラップは発動し続ける」

『つまり……』

「このまま犠牲者は増えるだろうな」

『それってヤバくない?』

「ああ。……後始末は遺恨無く済ませた方がいいだろうな、仕方ない」

レオは溜め息をついて、何かを呟いた。



火の気のない部屋が一瞬にして炎に包まれる。



『さっさと帰らないとミレイが五月蝿いよ』

「分かってる。……問題は、この術式の先までミレイを連れて行くかだな」

『絶対駄々捏ねるって』

「だから面倒なんだ」



レオとニュイは姿を消し……炎が全てを包み込んだ。









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