風吹き抜ける大地V

□暗躍するのは
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オーレ地方。

緑地化を進めている砂漠の地方。



「これより、我々はポケモン研究所に向かう!」

そう演説を始めたのは青い、変わった衣装を着た男だ。

「ポケモン研究所には、我々がポケモンを解放するために重要な道具がある! しかしこの研究所はその技術を独占し、悪用しようとしているのだ! 我々はそれを阻止しなければならない!」


ここはポケモン研究所からそう離れていない場所なのだが、生い茂る木々のせいで気付かれることがない。



「……白昼堂々と、よくやるものだ」

その様子を見ていたレオは思わず呟いた。


木々に姿を紛れさせるのは敵ばかりでない。

レオは背の高い木の枝の上で彼ら……プラズマ団団員たちを観察していた。


もちろんレオも必要だと判断したときには白昼堂々と動くことはする。

だが、動くときは勝算があるときだ。


昼間は多くの人間が起きている。

それはつまり、侵入に気付かれたら多くの人間が取り押さえに来るということだ。



しかしあの集団は相手のことなど気にしていない。


数で力押しし、目的の物……スナッチマシンを手に入れる算段だ。


「……ある意味では、こっちの方が厄介だな」

『いくらなんでも1度に全員倒すのは無理だもんな〜』

「ニュイは広範囲の技が少ないからな。……やるのは俺とディアだ」

『え〜』

『文句言わないの。いくらクレインでも、あの人数相手には厳しいんだから』


クレイン1人では所員やリュウトを全員守りながらあの集団を止めるのは難しい。


だからこそ、それを未然に防ぐためにレオが動いたのだ。


「奴らがパイラを経由してくれて助かったぜ」


レオの横にはマサがいた。



この集団を発見したのはマサだ。


いかにも怪しい集団で、気になって後をつけたという。

そしたら連中の目的がポケモン研究所だと知り、慌ててレオとクレインに連絡を入れたのだ。



「ニュイは念のために周囲を調べろ。ないとは思うが、仲間がいるかもしれん」

『分かったよ』

音も無くニュイが地面に着地し、走り出した。

「それにしてもよ〜、堂々と襲うならもうちょっと人数多くてもいいんじゃないか?」

プラズマ団は総勢20人ほど。

「油断してるんだろ。シャドーに襲われたときも2、3人だったというしな」

「なるほど。確かに表向き戦力はリュウトだけだもんな」

もちろん他にもポケモンたちはいる。


だがトレーナーのほとんどは研究員で、お世辞にもバトルが上手いとは言えない。


だから、リュウト1人を抑えておけば勝てると踏んでいるのだろう。
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