風吹き抜ける大地V
□新たな旅への誘い
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その日、クレインはアオイポートに来ていた。
時刻は夕方。
アオイポートの中でも特に高級なレストランにクレインは招待されていた。
研究者の証である白衣を脱ぎ、ただ耳を傾ける。
「如何ですか? 我らプラズマ団に……」
「……すみませんが、僕は断らせていただきます」
クレインがそう言うと、対面に座っていたゲーチスが驚愕の表情を浮かべた。
「どうしてです? あなたはダークポケモンと関わっていって、人間の愚かさを知っているはずだ。どんな人間にもポケモンを弄ぶ権利はない、と」
「……確かに、人間が愚かなところは否定はしませんが……全ての人間がそうだとは、僕は思ってないんですよ」
クレインはUSBメモリを指で弾き、ゲーチスの前まで滑らせる。
「これはお返しします。興味深い内容でしたが、僕には必要ありません」
「……そうですか」
まさか断られるとは思ってもみなかったのだろう。
ゲーチスは自分の話術に自信を持っていた。
さらには催眠による暗示まで。
だが、それはクレインには効かない。
「それじゃあ、この話はここまでということで」
ここの食費分をテーブルの上に置き、クレインは立ち上がった。
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