仮想と現実V
□逃げ場は?
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ハセヲは苛立ちを隠しきれなかった。
レベルが150間近になりクビアの脅威も去った今、そこまでレベル上げに固執はしていない。
だが……こうなるとさっさとフィールドに行ってモンスターを狩りたくなる。
PKでも可だが。
「だからさ、あたしが……!」
「却下です!」
「そーよ! ハセヲは私と組むんだから!」
「カール……抜け駆けはずるいよ……ハセヲは僕と組むんだから……」
「何だと!?」
カオスゲート前で騒いでいるのはアトリ、揺光、エンデュランス、カールというメンバー。
何故騒いでいるのかというと……実にくだらないことだが誰がハセヲとパーティを組むかということで争っているからだ。
このメンバーにハセヲを加えると5人になってしまう。
それに対して『The World』のパーティ上限は3人。
必然的に3人と2人のパーティになってしまうのだ。
その2人パーティの方にハセヲはいつの間にか入ることになっていて、もう1人をどうするかでもめているのだ。
「ハァ……」
いつもそうだ。
この4人はどこからともなくハセヲがソロでフィールドに行こうとすると待ち構えているかのように現れる。
知識の蛇で誰かが情報を流しているのではないか、と疑ってしまうくらい。
ちなみにその場合、容疑者は2人まで絞られる。
もういっそのこと、1人で行ってしまおうかとも考えてしまう。
「……おい、早くしないと俺1人で行っちまうぞ」
「ダメです!」
「駄目だ!」
「駄目だよ……」
「駄目だって!」
見事に全員声を揃えた。
「……ハァ」
一体どうしろっていうんだ。
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