仮想と現実V
□とある喫茶店にて
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あれから7年も経っているのに、物好きな連中だ。
亮は自分のことを棚に上げてそんな風にぼんやりと考えた。
都内にある、とある喫茶店。
BTとベアが1番初めにオフ会の会場としてセッティングしたこの喫茶店がいつもの集合場所となっていた。
出される飲み物は美味しいし、値段も手ごろ。
交通の便もいい場所にある割には静か。
小学生のとき初めて訪れたこの喫茶店。
いつの間にか7年が経ち、亮は立派な常連となってしまった。
「つーかさ、何でいるんだよ」
コーヒーを飲みながら、ハセヲは溜め息をつく。
同じ席には7年来の付き合いである杏と、車椅子の真理子がいた。
「ショッピング」
「亮君はどうして?」
亮だけでなく、他の面々も常連となっているのだから会ってもおかしくない。
実際、この7年の間に何度も偶然この店で顔を合わせている。
「……いつもの通り、病院の帰り」
「そうですか……」
2人とも、AIDAの顛末はワイズマン……火野拓海から聞かされている。
安心して話すことのできる人物だ。
「ま、志乃もようやく退院できたし。あとはオーヴァンだけなんだよなぁ」
残念ながらこの問題が解決する目処はついていない。
「……でさ、亮は大丈夫なの?」
杏の言っている意味が分からず……いや、意図的に理解しようとせずに、亮はコーヒーを飲む。
沈黙したままの亮を見て杏は溜め息をつき、もう1度聞いた。
「大丈夫なの? ……スケィスは」
それでもまだ亮は無言だった。