仮想と現実V
□ほんの少し、飛躍する
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バグモンスターがマク・アヌにいたサクヤたちに襲い掛かる。
「くっ!」
いくらシャムロックにデータドレインがあろうとも、敵の数が多すぎる。
「きゃああああ!」
襲い掛かる大量の不気味な虫に、サクヤが悲鳴を上げた。
しかし、虫が突然と消去される。
「え……?」
「シャムロック、無事か!?」
仕様外の武器、双銃を構えていたのはハセヲだった。
「ハセヲ……!」
シャムロックの声は、喜びを隠しきれていない。
「ようやくログイン出来たと思ったら……随分と大変なことになってるじゃねえか」
「ハセヲ……意識が、戻ったのか?」
険しい顔でシャムロックがハセヲを見つめる。
「まあな。……でも、まだ麻痺が残ってる」
ハセヲはシャムロックに見せつけるように、右手首をスナップさせる。
それはいつもログインするときの癖だった。
「そうか……」
息を吐いたシャムロックだが、次の瞬間ハセヲに迫る。
「それなら連絡ぐらい入れなさい! あなたが入院したって聞いてどれほど心配したと思ってるのよ!」
「シャムロック、ロールロール」
「五月蠅いわね!」
普段の幼女の外見に似合わない、大人びた口調をかなぐり捨てて叫ぶシャムロック。
どうやらシャムロック……佐伯令子とハセヲのプレイヤーはリアルの知り合いらしい。それもかなり気心の知れた。
「っと、こんなことやってる暇ねえわな」
ハセヲは笑みすら浮かべ、迫りくるバグモンスターと対峙した。
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