仮想と現実
□碑文の欠片
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『リョウ、このゲーム知ってる?』
幼いころ……確か6歳くらいだったと思う、父親の仕事の関係で外国にいたときに隣に住んでいたお姉さんが見せてくれたゲームがある。
お姉さんと言ってもあの人も13くらいだったはずだけど。
いつも親が家にいなくて、ゲームばかりしているから気を使ったのかもしれない。
その人はついでに彼女が体験した不思議な話も聞かせてくれた。
それから日本に帰って、あのお姉さん……ララ・ヒューイックが教えてくれたゲームのβ版、フラグメントに応募した。
抽選で1024人しか受からなかったのは偶然なのかそうじゃないのか、分からないが。
「メンバーアドレスちょ〜だい♪」
Σささめく 一夜の 錬金術
そこにいた青年と少女のPCの少女の方に楚良は後ろから双剣を首に回す。
「えっ……!?」
少女……ほくとは突然のことに対応できていない。
対して青年はすぐさま槍を構え、楚良に向けた。
それを見て楚良は口笛をリアルで吹く。
「めっずらし〜槍持ってるね〜オニーサン」
少なくとも楚良はThe World内で見たことがない。
もしかしたらフラグメント時代のものかもしれない。
かく言う楚良もいくつかその時のレアアイテムを持っている。
今装備している双剣もその1つだ。
「え!?え!?どーなってるの!?」
騒ぐほくとに楚良は眉をしかめ、あっさりとPKする。
ほくとが弱すぎるのもあるし、楚良が強すぎるのもある。
今や楚良の興味はほくとからこの青年に移っていた。
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