仮想と現実

□ガラじゃないけど
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カールが彼を見つけたとき、人違いかと思った。

同型のPCくらいいてもおかしくない。

だがあの髪型といい頬の傷といい、カールの知っている彼そのもの。


だが雰囲気が違う。


まるで憑き物が落ちたような、すっきりとした顔。

その人物はカールが声を掛けるよりも先にカールに近づいて来た。

「あれ?カールきゅん?」

その呼び方は間違いなくカールの知っている彼……楚良のもの。

自分が入院している間に何があったのか分からない。


カールはリアルで意識不明になり、この前退院したばかりで、The Worldにログインしたもの久しぶりだ。


「楚、良……?」

「他に誰がいるの?もしかしてボケた?」

「ボケてない」

「あっそ」

プイとそっぽを向く楚良。

「……ねぇ楚良」

意を決し、カールが聞こうとする。

「……多分、カールきゅんが考えてること、当たってるよ」

「え?」

「厳密に言えば、僕はカールきゅんの知ってる“楚良”じゃないもん。でも、君をデータドレインしたのも僕」

その告白にカールは戸惑う。





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