仮想と現実V

□意外な一面
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「残念〜。フリージアはないよ。代わりにほおずきならあるから、これあげちゃったら?」

リストを見て、楚良は笑う。

「え……?」

それを聞くと望は悩み出した。

「じゃあ……それ、ください」

「オッケー2000GPね」

すぐに望はほおずきの代金を払い、

「はい、楚良おにいちゃんにプレゼント」

「え?」

楚良に渡した。

「……ふ〜ん、僕ちんにはこれがお似合い?」


ほおずき……鬼灯の花言葉は「偽り」「欺瞞」

まさに楚良に似合っている。


「うん。楚良おにいちゃん、不思議な人だし……楚良おにいちゃんは楚良おにいちゃんだもん」

そう言われて、そういえば他にも意味があったことに気付いた。


「不思議」と「自然美」


「……なーるほど、ねえ」

ふと楚良は気まぐれで、リストの中にある別の花を見つけた。

「んじゃあ、僕ちんからこれプレゼントw」


それは白いユリだった。

花言葉は「無垢」


「大切にしな。僕ちんが誰かに贈り物するの、珍しいんだから」

「……うん! ありがとう、楚良おにいちゃん!」

とたんに望は笑って、走って行った。

「……何してんだろ、俺」

望が見えなくなり、楚良はユリの代金を入れておく。


暇潰しに覚えた花言葉がまさか役に立つなんて。


「楚良!」

「お待たせ、楚良!」

タイミング良く、シラバスとガスパーが戻ってくる。

「店番、どうだった?」

「べっつにー。そんじゃ、僕は落ちるから」

そう宣言して、楚良はログアウトを実行した。









END
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