風吹き抜ける大地U
□弊害
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宿の一室に戻り、ようやくレオは一息ついた。
「……レオってさ、ああいうのタイプなわけ?」
「まさか」
ミレイの何気ない質問に即答する。
「特に逆ナンなんてしてくるような奴はな」
すると、何故かミレイは目を丸くした。
「……どうした?」
「……レオが逆ナンなんて単語を知ってるとは思ってなかったから」
「……そうか」
そんなに意外だったのか、ミレイは何度も首を傾げる。
レオも視線をディアとニュイに目を向けると、2匹は忍び笑いを漏らしていた。
「……幻想を持ちすぎなんだよ。最初会ったときも俺を王子様とか言うし」
『女性は男性に対して幻想を持つものよ』
『ま、いいじゃんか。ミレイだって嬉しそうだし』
「……だから嫌なんだよ」
物資調達のため町に出るのは仕方ないといえるが、毎度毎度これでは耐えられない。
相手をするのも億劫だし、何より元々人ごみは苦手なのだ。
どこに誰がいるとも分からない場所では気苦労が絶えない。
だから逆ナンという弊害が出る前に終わらせるに限る。
レオは溜め息をついて、懐のものをミレイに見られないようにしまった。
END