救済と撲滅
□変わった君
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「仕事は大丈夫なの……?」
「デストラクトの監視だから問題ないだろう」
「僕がどこかに行くって考えないの?」
キリエなら砂海も単独で越えられる。
その事はアグニスも承知のはずだ。
「だが、お前はどこにも行かない。違うか?」
キリエは答えなかった。
バルニの人の前で見せる笑顔ではなく、無表情で窓から外を見る。
「……撲滅のモルテ。ここまで世界撲滅委員会の話は伝わってこないけど」
キリエは目を伏せ、思い出に浸る。
定期的に破壊される世界。
手を下しているのはキリエ自身だ。
その中で出会った少女、モルテ。
モルテは死んでもキリエは存在し続ける。
世界は破壊され、魂は転生する。
そして、再び巡り会う。
だが、キリエは覚えていても相手は覚えていない。
生まれる前の記憶を覚えているわけがないのだ。
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