Walker Family
□見送りの約束
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アレンは列車に乗り込んだところでもう一度振り返り私たちに何か言おうとしたが、ちょうどドアがしまったことでそれは阻まれた
代わりにドアの窓から笑顔で手を振り、口の動きで『いってきます』とだけ言った
列車が動き出す
「あっ・・・」
リナリーは列車のあとを追うように歩きだすが、すぐに立ち止まり一生懸命に手を振る
するとすぐに車両の窓の一部からアレンが顔を出し、リナリーに手を振り返す
彼らはお互いの姿が見えなくなるまで、その手を振るのをやめなかった
そしてマナも、私の腕に抱かれながら父の乗った列車が去っていくのを黙って見つめていた
「さて、帰るか」
「そうだねぇ」
私はティッキーと一緒にその場を立ち去ろうと歩きだす。と・・・・
「ふぇ――」
「「あっ」」
まあこれはいつものことで、私とティッキーもこうなることは予想していたのだが・・・
「ふぇえええええええん・・・・」
「あ〜、泣いちゃったぁ」
マナはその瞳から涙をポロポロと流し、声をあげて泣き出してしまった
マナは普段からお父さん大好きっ子である。普段でもべったりなのに、任務で長い間家を開けることになるとすぐにこうして泣き出してしまうのだ
これは毎回アレンを見送っている私たちが一番よく知っている。悲しいことに・・・
「あちゃ〜、どうしようかぁ・・・リナリー」
「う゛〜〜〜・・・」
「えっ、ちょっ、リナリーまで泣いてんの?」
「あ、アレンくんが行っちゃったァ〜・・・」
「おいおいリナリーしっかりしてくれよ!」
私は泣いてしまったマナをよしよしとなだめ、ティッキーはベソを掻いているリナリーを必死に慰める
なんだろうねこのカオス。毎回こんなんだから異常に疲れるんだよなぁ
上を向けば太陽が嫌味なくらいにサンサンと輝いてやがる。なんかムカつく・・・
「ふぇええええええん・・・」
「あ〜よしよし。マナはいい子にしてなきゃだめだよぉ?」
ああ、今日も世の中は平和だァ
Fin