アレリナnovel
□酒は飲むもの飲まれちゃいけない
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コッコッコッコッ
夜中の11時、もう真っ暗な廊下に自身の足音のみが響く
自分以外の人間の気配など一切ない
昼間は賑やかな教団内も、皆が寝静まった時間帯では恐ろしいほど静かだ
真っ暗な空間と人の気配のなさが、一種の異空間を創りだしている
だが、今の僕にはそんなことはどうでもよく
「疲れた・・・」
任務帰りの体は、今すぐの睡眠を要求していた
今回の任務はイタリアのある街へのイノセンス回収
アクマの数はレベル1多数、レベル2が20体にレベル3が10体
街の人達を守りつつ、10日間に渡るゲリラ戦
結果的にはイノセンスはなかったものの、死者数が0だったのは僥倖だろう
だが、精神体力共に疲労も限界に達している
コムイさんへの任務報告を終えた僕は、すぐに自室へと向かっていた
彼女に会いたいという気持ちもあるが、もうこんな時間では眠ってしまっているだろう
自室の扉を開け、手に持ったカバンを床に置く
そのままベットへ飛び込んだ体は、疲労感でゆっくりと沈んでいく
これなら、今すぐにでも眠れそうだ・・・
「眠れない・・・」
不思議なことに、体は疲れきっているというのに、妙に頭が冴えてしまっている
そういえば、以前誰かが言っていた
人間はあまりに疲労がありすぎると、逆に眠れなくなることもあるそうだ
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