「すっ、すきです!受け取って下さあああい!」
「え!俺か!?こんなおっさんでいいなら喜んで受け取るが…」
へ、おっさん?
「あ、間違えた。ギバリじゃないよ!ばか!」
「ばかって…勝手にお前が間違えたってのに…」
バタン!!!!
「もっとドアは静かに閉めろって!あいつ…ま、いいけどよ…」
今日は乙女の夢のバレンタインデーだ!
今日この日のためにわたしは何回も何回も作りなおしながら愛を込めてチョコレートを作ったんだけれども、
肝心の渡す相手がさっきから行方不明で、ずっと探し続けてる
「カラスどこ行っちゃったんだろ」
でもこのまま見つけられなくてもいいかな…だって渡すのに緊張するし…
だってほら、現に今も足ががたがたふるえてる
間違えてギバリに言った時だって相当緊張してたのに…
はああ、どうしよ
渡すべきか、渡さないべきか
こういうときはあれだよね。天の神様に決めてもらおう
じゃあ左が“渡す”で右が“渡さない”で決めよう
「どちらにしようかな天の神様の言う通り!」
“渡さない”!?
いやでもここまで来たんなら渡さないとだめな気がするんだけど!
でもなあ…緊張するし…
………………、
じゃあ大好きなカラスに決めてもらおう
さっきと同じで左が“渡す”で右が“渡さない”で決めよう
「どちらにしようかな大好きなカラスのいうとおり!ええええええええ!!!」
“渡す”!?
「無理無理無理」
「無理じゃねえだろ」
「無理ですそんなの」
「俺の言う通りにするんじゃなかったのか?」
「さっきのはナシで…ってぎゃあああああカラス!!!」
「今気付いたのかよ…」
ええええなんでカラスがここに…さっきのわたしの独り言全部聞いてたって感じですかね、この流れは…
「くれねえのか?」
「だって…わたしなんかに貰ったって嬉しくないよね…」
「いつ誰がそんなこと言ったんだよ。好きでもねえ奴にくれなんか言わねーって」
「…………」
?
「それはカラスがわたしの事を好きだと言ってると解釈してもよろしいのでしょうか…」
「…ああ」
そう言ったカラスの顔がほんのり赤かったのでわたしはとっさにポケットからカメラを取り出した
「いただきっ」
「え!?」
カシャッ
「おま…」
「ごめんなさい、いつものくせで…」
わたしはカラスのレア写真(照れ顔)を手に入れた。