「つれてって」
両手を広げて、さっきまで地面に座っていた彼女が俺に言った。
彼女の横には人が大勢横たわっていて、さっきから全く動かない。
「つれてって」
早く、と俺をせかす
俺は彼女の横の人々が気になってそっちにばかり目をむけていた
それに気付いたのか彼女は少し黙ってから、また口を開いた
「みんな死んじゃった」
彼女の言葉を聞いてやっと納得した。驚きはしない、予想はしていたから。
細い腕が俺の服を掴む
太陽の光が彼女の茶色の瞳をてらした
「綺麗な片羽でわたしをつれてって」
壊れそうな細い彼女を抱き抱えて、心の羽をはばたかせた
勢いよく地面をおもいきり蹴飛ばして、飛んだ
「空だ」
できるだけ、遠く、上のほうへ