ぎゅっと、
セネルに抱きついた。
突然のことに、彼は一瞬よろめいて、
それでも、優しく笑って「どうした?」なんて、わたしに尋ねる。
そんなセネルを、わたしはこんなにも好きだと想ってるのに。
あなたには、想う人がいるんだ。もう、いなくなってしまったけど。
わたしは、その人ほど優しく生きれない。あなたを守るほど強くない。
その人のようには、できない。
でも。
「好き」
好きな気持ちは変わってくれないから。
「ありがとう」
そう言って、また、優しく笑って、
わたしばっかり、好きなんだ。
優しい彼の胸に、
(わたしの涙が染みた。)