後ろの方から誰かがどたどた走ってくる足音が聞こえて、振り向いたら物凄いでっかい人に突進された
わ、わ、わ、
一瞬だけ、スローモーションになって見えたのは明るい色の髪
モーゼスだ、
突進されて立っていられるわけなくて芝生に倒れたら視界には一面綺麗な青い空
地面が芝生で本当によかった…コンクリートだったらこの世からさよならだったかもしれない…
わたしを命の危険にさらした張本人は、起き上がらせてくれる様子もなくてずっとわたしのおなかにくっついてるばっかり。
「突進してこないでよ!」
「突進違う、抱きしめとるんじゃ!」
抱きしめてるって言うより締め付けてるって言ったほうが合ってる気がするほどの力強さ
わたしのおなかをぐぐぐ…痛いくらい締め付けてくる。
「い、いたい」
「んー」
「いたい…」
「すきじゃー」
いたいって言ってるのに返ってくる言葉はそんな言葉ばっかで、だんだん恥ずかしくなってくる。それ以前に抱きつかれてるのもよっぽど恥ずかしいけど…
わたしの顔があつくなってきて両手でおおった。
「恥ずかしい…」
「今さらなんじゃい。ワイとワレの仲じゃろ!」
いつからそんな仲になったのか知らないけど、とりあえずわたしの顔に近付いてきたモーゼスの顔を両手で力強く押し退けた。