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□セネル
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ガラガラガラ



勢いよく病室の扉が開いたと思えば、大きな声でわたしの名前を叫びながらセネルが入ってきた



「セネル!!!声おっきいよ!!!ここ病院!!!」



「そう言うお前も大きいぞ!」



あ、ほんとだ



ひとりで笑ってたら、セネルは真剣な顔でわたしが寝てるベッドまで近づいてきた



「急に倒れたんだって?」



「うん」



「大丈夫なのか?」



「全然大丈夫!」



わたしは笑ったまんま答えたけど、セネルの表情は晴れない



「気付いてやれなくてごめん」



「セネルがあやまることないよ」



「俺がしっかりしていればこんなことにならなかった、」



「ねえ、セネル、聞いて」



セネルの言葉をさえぎった。



君は、わたしの重大な発表を聞いたらどんな顔をするだろう



きっと、喜んでくれる



不安なんてなんにもないよ



「セネル、あのね、」
















わたしの言葉を聞いたセネルは、何も言わずにわたしを力いっぱい抱きしめた



「わたし、幸せだよ」



わたしの肩に冷たいものが落ちて、セネルは泣いているんだとわかった



ひゅっと、セネルはわたしから離れて、服の袖で目を乱暴にこする



それが、あまりにも子供っぽくって笑った



「…産んでくれるか?」



「もちろん」



わたしと君の子供



きっとすてきな子が生まれてくるんだろうな



涙まじりに笑いあって、触れるだけのキスを落とした


そっと彼の手をわたしのおなかにあてて、

(新しい命に微笑んだ)






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