愛、アイ、I

□これがオレの頼れる仲間です!
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イライラする。

オルゲルトお手製のタコさんウインナーにフォークをぶっ刺しながら、いかにも不機嫌MAXですと言わんばかりのオーラを出していたら丁度通りかかったスクアーロに指摘された。っつーか両手にパン抱えちゃってさ、またボスのパシりやってんのかよ。可哀想なヤツ。


「ゔお゙ぉい!オレだって好きでんな事やってんじゃねぇえ!!」

「あーはいはい、わかったからさっさと消えろよ。オレ今機嫌悪いの、わかる?」

「…ちっ、どうせまた下らねぇ兄弟ゲンカだろうがぁ」

「ピンポーン、…何でわかった?」

「今まで散々オレらはお前の兄弟ゲンカに付き合わされてんだぜぇ?わからねぇ方が可笑しいだろ」

「ふーん、そっか…」

どうやらスクアーロを始めとするヴァリアーの皆にはオレとアイツのケンカには慣れてるらしい。オレの席の前へ座り、パンを食べだすスクアーロ(あれ、ボスの分はどーすんだろ)。

「んで、今回は何が原因なんだぁ?」

「別に相談する程でもねーし、第一アイツが悪いんだよ」

「いいから言え。…これからの練習に支障があったら困るだろぉ」


あー、つまり相談にのるのは部活に支障が出ないようにってアレか。…うぜーサボテンにしよっかな。
なんて思ってこっそりとナイフに右手を沿えたと同時にタイミングよくスクアーロの頭に何かがヒット。悶えるスクアーロの足元に落ちたのは、ほら…ダンベルだっけ?腕鍛えるヤツ。

「ゔおぉ…い゙っ!誰だぁ!んなモン投げやがったのはぁあ!?」

「るせぇ、ドカスが」

「ゔおっ!?」

更にダンベルがスクアーロの頭に直撃。投げたのはオレらのボスことXANXUSで。ボスを見た途端に周りの奴らはすかさず道を開け、その道を気にする事なくボスが真っ直ぐに歩いてくる(どんだけ恐れられ点だよボースー)。途中、床に突っ伏したままのスクアーロを一蹴してさ、何かもうスクアーロが哀れでしゃーないよ、ホントに。ボスはボスで結局はスクアーロの隣に座ってパンを食べだすし。

「ゔお゙ぉい!一体オレが何したってんだぁ!!」

「てめぇ…オレは3分以内にパン買ってこいっつっただろうが」

「っ!!そ…それはだなぁ…ちょっとベルの相談に…」

「はぁ?…オレ別に頼んじゃいねーし。
お前が勝手に進めたんだろ」

「ゔお゙ぉい!てめぇっ…ぐあっ!!」

あーあ、御愁傷様。スクアーロ、お前の事は世話焼きのバカでカスな魚類って記録しといてやるよ…なんてな。
とうとう床に突っ伏したまま動かなくなったスクアーロをつま先でつつきながら、オレの前でパンを頬張るボスに視線を向ける。ふいに、ボスの赤い瞳と目が合った。

「…またケンカか?」

「え、あー…いや……その、」

「…ケンカしたのかしてねぇのか、」

「………ケンカ、しました…」

こっええぇぇ!ボスめっちゃ睨んでんだけど、っつーか超直感?オレさ、ケンカしたとか一言も言ってねーよな?…うっわ、さっすがボス。
なんて考えてると急にボスの手が伸びてきて驚いていたら、頭を撫でられた。…あれ、オレ…ボスに撫でられてんの?

「ボス…?」

「……なんだ」

「……ごめん、」

何で、謝ったのかわかんないけど。ボスも訳がわからない、って顔をしてるし。そういえば、今まででもケンカした時は絶対にボスやスクアーロ達が慰めてくれたっけ。

「……仲直りしてこい」

「うん、…行ってくる」

オレが席を立って、食堂を出ていこうとした時。オレが開けるよりも早く扉が開いた。食堂に入ってきたのはオレが今から会いに行こうとしていた人物で。

「こんの……バカベルーーーっっ!!」

オレと同じティアラ、同じ金髪をなびかせて勢いよく入ってきたジル。オレを見るなり手に持っていたであろう弁当を渾身の力で投げつけてきた。

「い゙っっ!?」

ガゴン、と良い音をたててオレの頭に直撃した弁当。あまりの衝撃に思わず床に崩れるように倒れるオレと、正面に向き合うように座るジル。

「って、め……何、しやがる」

「…………なよ、」

「あ゙?」

「ふっ、ざけんなよバカ!弁当忘れた事は謝るけどさ!謝るよ…、なのに、……何も弁当投げる事ないだろ!めちゃくちゃ痛かったんだからな!」

気持ちが爆発したみたいに普段見る事のないくらいに真っ赤にした顔でオレに向かって怒るジル。オレの服を握ってくるトコが逆にかわい…いや、女みてー。

「…ジル、可愛い…」

「はぁ!?おま…オレが真剣にっ…謝ろうとしてんのに…!」

「あー…ヤッベ、口すべった。」

「っ〜!!バーカバーカ!ベルのバーカ!!」

「あ、おいジル!!」

今度は勢いよく飛び出していくジル。オレがジルを掴もうとした右手は宙に浮いたまま、食堂内はオレとジルの壮絶な兄弟ケンカ(むしろジルの怒り)に圧倒されて静まりかえっていた。
「ゔお゙ぉい…ボスさんよぉ」

「…いつから気づいていやがった、カス鮫」

「ラジエルが食堂に入ってきた辺りからだぁ、」

「ボスー!スクアーロー!」

「「………何だ(何だぁ)?」」

「色々サンキュー!オレ今からジルに謝ってくる!!」

そういうとお騒がせ王子(弟)はお騒がせ王子(兄)を追いかけて食堂から出ていった。



これがオレの頼れる仲間です!

(ったく…お騒がせな兄弟だぜぇ)
(…ふん、さっさと素直になりゃいいんだカス兄弟が)
(全くだぜぇ…周りはとっくに気づいてるってのによぉ)

(ジルー!)
(ひっく…ベ、ル…?)
(その…オレの方こそごめん!なんか…イライラしててさ)
(うん、…オレこそ、ごめん)
 

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