愛、アイ、I

□日常風景〜ボンゴレ棟より〜
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「うっわ、今日もかよ」

教室の扉を開けた途端、オレの目の前を落下していく黒板消し。

この光景にも慣れたモンだ、前はオレも引っ掛かってたんだけど。寸前までわからない様に細工されていたりと、アイツも手の込んだ事をするもんだと。
そんな事を思ってたら教室の真ん中に目立つカエルを見つけオレは早足でソイツの元へと行った。

「あ、おはよーございますーセンパイ。今日も相変わらずの堕王子っぷりで」

「おいこらクソガエル、てめー今日こそサボテンにしてやろうか」

「イヤだなー、ミーがセンパイなんかにサボテンにされるワケないじゃないですかー。…調子乗んなよ堕王子が」

「しし、王子が言ってんだからぜってーだ。…死ねよクソガエル」

「ミーはカエルなんて名前じゃありませーん」

「しし、てめーなんてカエルで十分だろうが」

教室のど真ん中で、毎朝毎朝黒板消しを仕掛ける犯人…フランといかにも本気でバトります止めないで下さいオーラを出しながら言い合いを続けるベル。
クラスの皆は、毎朝見慣れている景色なので誰も止めようとはしない。

「っつーかさぁ、毎朝毎朝よく飽きねーよな。何が楽しいんだか」

「別に意味なんてありませんよー、ただなーんとなくなんでー」

ふざけんなよ、クソガエル。何が楽しくて毎朝黒板消しを避けて教室に入るとかいうメンドクセー事をオレがしなきゃいけねーんだよ。マジ朝からテンション下がるんだけど。
片手でナイフをちらつかせながら言うも、フランは微動だにもしない。

「てんめー…今日こそ殺してやるぜ」

「やれるモンならやってみろってんだー」


「おいおい、神聖な勉強の場をお前らの戦場にするんじゃねぇよ」

「「い゙っ!!」」

ガンっ、といい音がして言い合っていた2人は頭にきた急な衝撃に頭を押さえてうずくまった。ギロリと2人が睨む視線の先には、今日、このクラスの担任のリボーンが休みであるために代理としてやってきたγが出席簿片手に立っていた(オレとカエルを直撃したのはこの出席簿の角)(いやいや角で殴るとか生徒が大切じゃねーのかよチクショー)

「い゙ってぇー…ふざけんなよ、このロリコンオールバック」

「そうですよー、角とかアンタは鬼かー」

「そうかそうか、そんなに頭にもう一発ぶちこまれたいか」

今にも頭に振り落とされそうな出席簿に、2人はすぐさま押し黙った。それを見たγは、全員に席につくように言うと何事もなかったようにHRを始めた。
これが、ボンゴレ棟のいつもの光景。



「……って事で、だ。ベルフェゴール、次の問題お前がやってみろ」

「はぁー!?何でオレなんだよ、カエルにやらせればいいじゃん」

「何でそこでミーが出るんですかー、さっさとやれよ堕王子が」

時刻は変わって1現目、黒板の前で教科書片手に説明しているのは朝のHRの時にオレの頭を出席簿で殴りやがったγで。真面目に受けるのなんて性に合わねーから、丁度窓から見える青空にボーッとしていたらまさかのオレに指名。…正直話なんてこれっぽっちも聞いてなかったからわかんねーんだけど。

「ほらよ、前に出てやってみな」

「…ちっ、」

仕方なく黒板の前に出て、書かれてある問題に目を向ける。…あれ、なーんだ。簡単じゃん、こんな問題。
スラスラと黒板に答えを書くと後ろからは驚きの声、まぁ当然じゃね?普段の態度からはあまりわかんねーだろうけどさ、オレの成績は上の中。要するに天才ナメんなって事。

「ししし、これで文句ねーだろ?γセンセー」

「ったく…流石は王子、って所だな。よし、下がっていいぞ」

「うしし、楽勝ー♪」

そう言って席につくと同時にチャイムが授業の終わりを告げた。オレはいつも気にくわねーんだけどカエルと他のクラスだの他学年の教室にふらふらと歩き回る。

「センパーイ、そう言えばルッス先生の授業、まーた長引いてるらしいですよー」

「うしし、マジかよ。で、今日ルッスーリアの犠牲になってんのはドコのクラスなワケ?」

「アホアホのロン毛センパイのクラスみたいですー」

「しし、からかいに行こーぜ!」

ルッスーリアの担当する教科は音楽。(っつーかむしろダンスとかカラオケとか中心なんだけど)授業では毎回自分の気に入った生徒に歌わせたり踊らせたりで苦情が来ているとかどうとか。で、今回はスクアーロのクラスってワケ。あの中じゃ、気に入られるのはスクアーロくらいってわかってるし。(可哀想なスクアーロ)


「ゔお゙ぉぉおい!!!」

音楽室が見えてきた辺りに、両手で耳を塞ぎたくなるくらい大きな声が聞こえてきた。(こんな声出すヤツなんてアイツしか居ねーだろうし)

「んもうスクアーロ!そんなに力入れて歌ってちゃ綺麗な声は出せないのよぉ!」

「るせぇえ!オカマがぁ!!」

「…やってますねーロン毛センパイ」

「しし、あのルッスーリアと張り合うだけムダなのにさ」

「ゔお゙ぉい!!オレはもう帰るぞぉ!!!」

「ちょっとぉ!待ちなさいよぉ!!」

カエルとコソコソと音楽室の中を覗くと、前に出てルッスーリアに無理矢理マイクを持たされているスクアーロと後ろで待っているクラスメイト。(あーあ、巻き込まれちゃってるよ可哀想に)

「っち、…いい加減うぜぇぞぉ!!」

「ロン毛センパーイ、せいぜい頑張ってくださーい」
「さーて、そろそろ次の授業始まるぜ」

「戻りますかねー」





日常風景〜ボンゴレ棟より〜

(で、次は何の授業だっけ?)
(…確か地理だった様な気がしますー)
(ふーん…ってかさ、)
(??)
(スクアーロ達、あのままもう一回音楽受ける気??)
(あ、)

(ゔお゙ぉぉおい!!さっさと終わらせろぉ!!)

 

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