07/23の日記
14:20
怖がり。
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注)「人見知り。」の続きです。
昔、何のついでだったか、兄様と買い物に出たことがあった。
当時はまだ小さかった私の手を引いて、子供服を売っている店に入っていく兄様。
当然ながら周囲には沢山の人が居て、おまけにそれらの半分ほどは私と同い年程度だった。
目が合うと殺してしまうから、視線を下げた。
それでも足音だとか、声だとか、気配だとか。
怯えているからこそ感覚が開いていき、どんどんと恐怖がつもっていく。
手が、震えた。
緊張状態にあるせいで、手の温度が下がっていく。
するり、
握る力が弱くなっていき、ついに兄様の手が離れた。
…あ、
心細く思うよりも早く、再び手が握られる感覚がした。
思わず兄様を見上げると、
「…ったく、手ぇ離すなっちゃ。
怖くないっちゃよ、ちゃんと俺がついてるっちゃ。」
な?
そう言ってぎゅ、とさらに強く握られる手。
「お前が誰かを殺しそうになったらちゃんと止めてやるし、お前が誰かに傷つけれられそうになったら助けてやるっちゃ。
だからお前は、」
言いながら帽子を手に取る兄様。
「怯えなくていいっちゃよ。」
ぽすんっ、と帽子がかぶせられた。
淡い色合いの可愛い帽子。
「人と目を合わすのが嫌なら帽子を被ってればいいっちゃ。」
ぽんぽん、と頭を撫でられて、どうしたらいいかわからなくなる。
「ん、やっぱりこれが似合うっちゃね。」
よし、買いだ。と小さく呟いて兄様は再び歩き出した。
買ってくれるらしい。
…少し、嬉しかった。
手を引かれながら、空いた方の手で撫でられた頭に触れようとして、依然乗せられたままだった帽子に手が当たる。
反射的に落とさないよう、きゅうっときつく握り締めながら、何時の間にかすっかり落ち着いている自分に気が付いた。
もう、怖くなかった。
繋いだ手が、酷く安心感を与えてくれた。
少なくとも、この手の温度と握り締めた帽子の感覚は、疑いようも無く確かな物だった。
…確かに帽子をかぶっているのはいいかもしれない。
誰かと目が合うこともないし、何より、赤くなった顔を兄様に見られなくて済みそうだったから。
「…つって、帽子を買ってやって以来、ずぅっと帽子を手放さなくなったんだっちゃ…。」
「ああ、アイツの帽子病は大将が原因か。
何年前の話しだそれ?」
「十年くらい前、だっちゃかねぇ?
とりあえずなんとかして会話を成立させるための解決案だったんちゃが…。」
「…いや、逆効果だったろ絶対。
帽子取った時の反応を見る限り、悪化してるんじゃねーか?」
「それはお前が無駄にちょっかい出すからだっちゃ。」
「俺だけじゃねーよ!
兄貴とかも…」
言いかけて、何処かから聞こえてくる悲鳴に気付いた。
「な。」
「レン…」
お前って奴は…!
頭を抱えた軋識のところに、逃亡者と変態が飛び込んでくるまであと三秒。
(いやああああ、兄様、兄様!助けてっ!)
(レン!何してるっちゃお前!)
(え、いや、ちょっと可愛い妹に抱きつこうとしただけだよ!ね、ほら何にも悪いことしてない…ってああ!愚神礼賛構えないで!)
(少し黙ってろっちゃ!)
(ひぅっ、ホラー映画!?)
―――――――
きっと零崎家は、こんな感じで騒がしければ楽しいんだろうな。
まあそんな感じでこの子、帽子をかぶってます。
帽子を無理やりとると泣き出します。怖がらせても泣き出します。そして軋識さんとこに逃げてきます。
雛様コメントありがとうございます。
ちょっと調子に乗って、続き書いてみました。
リクエスト内容には全然応えられてないのですが…(駄目でしょ
だれかこの子の名前考えてやってくれ。切実に。
☆コメント☆
[雛] 07-26 16:57 削除
ふおぅ!
続編を書いていただき
ありがとうございます!!
すっごくステキですよ
帽子をとられまいと
がんばってるところを
妄想←すると
ヒロインちゃんが
かわいくてしょうがないです(笑)
[黒織] 09-24 11:46 削除
ヤバイ!!可愛すぎる!!
本当その妄想力?と言うかなんというかに
惚れ惚れしそうです!!
素敵です!!!
[愛織] 05-02 18:15 削除
初めまして愛織と名乗らせて頂きます!
名前、寂織(せきおり)
でどうでしょう?
寂寥と掛けています!いきなりすいません!
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