パラレル

□夏の夜の事【未完】
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「なあ新八、ほんとにこれ着てくの?」
「そうですよ。せっかくの夏祭りだし、沖田さんの分も姉上が縫ってくれたんですからね」

畳紙に包まれた縫いあがったばかりの浴衣を取り出し総悟に渡す新八。

受け取りながらも総悟は不満の声を漏らす。

「そりゃあお前のは地味なやつで着てても恥ずかしくないだろうけど、俺のなんかすっげー派手でなんか恥ずかしいよ…」
「いいじゃないですか、派手でも。沖田さんなら逆にそういうののほうが似合うと思いますよ?それに着物とか浴衣って派手に見えても着たら案外しっくりする事が多いし」
「じゃあお前が着ろよ!」
「だめです。それは沖田さん用に姉上が縫ってくれたんだし、いくら派手めでも大丈夫って言っても僕が着たら浴衣だけひとり歩きしてるみたいになりそうですもん。さ、だだこねるのはそのへんにして早く着て行きますよ。ほら、帯結びますから立って、立って!」
「でもやっぱりさ…」
「もう、ぐだぐだしてたら花火に間に合わなくなりますよ!」

渋々立ち上がった総悟に浴衣を羽織らせをくるりと後ろ返し、手際よく帯を結んでいく新八。

着付けられた浴衣を見てはぁ…と小さくため息をつく総悟だった。
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