駄文

□ルーク消失話2
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下手したら、
弟くらいに思っていた少年が
気がつけば逞しい背中を晒す、
青年へと変わっていた。

ルークも、
跡形もなく消えるのだろうか。

確かに目の前の青年は
血を通わせ、同じ空気を
共有しているのに。
イオン様も唐突に、消えた。


ルークは最近、
ふと立ち止まることが
多くなった。

じっと目をこらして、
空を、大地を、人を、営みを
焼き付けている。
そんなに力を入れると
痛いんじゃないかと思うほど、
必死に。

そんな時大佐は、
さりげなく歩調を緩めたり、
会話をはさんで
団体を止めたりした。
ガイはルークを見て、軽く唇を
噛み締めて、眉を寄せる。

受け入れたの?
彼は消える準備をしているのに。

私は歯がゆくて、
えい、とルークに
タックルかましたりした。



知っていた。


ティアが夜静かに一人で
泣いていることも、
ナタリアがかよわく瞼を
震わせる仕草も、
ガイのかたい拳も、
大佐の何も語らない背中も、

どうしてだろう。
世界はどうして彼を選んだの。

大事な人を守るために、
大事な人を犠牲にする。
ああ、頭が痛い。
一体私は何がしたいの。

どうして私は、
  私を
   差し出せない。

どうして私に選ばせるの。

いかないで。

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