いつも夏目に拍手をありがとうございます。
穏やかで優しく切ない世界観が
夏目の良いところですw
久しぶりに入替ましたのでどうぞw
1.「金魚」
「美味そうだな。」
「食べ物じゃないからな先生。」
苦笑して言えば、
冗談だと笑って返された。
今日は地元の夏祭りで、
俺と先生は遊びに来ている。
神社の境内に夜店が
所狭しと並んでいて
どれも興味をそそるものばかり。
目移りしてしまう。
カランコロンと下駄を鳴らし
二人で石畳を歩く。
チラリと見上げれば、溜息が出るほどの
確かな輝きと、美しさを
兼ね備えた先生が俺を見ている。
思わず赤面し、慌てて足元に視線移した。
そんな俺を見て少し笑い
頭を優しく撫でる先生。
益々熱を帯びた頬が
どうしようもなくなった俺は
(先生のバカ・・・。)
と心でそっと悪態を呟いた。
*
俺たち二人は、塔子さんからの
贈り物の浴衣を着ている。
ニャンコ先生のことをすっかり
俺の友達だと思い込んでいる塔子さん。
先生もちゃっかりと塔子さんの心を捉え、
晩御飯さえも一緒に食べている始末。
塔子さんもまさかあのにゃんこが
コレだとは、思いもよらないだろう。
そんな折りに夏祭りの話が出たのだ。
二人で行ってらっしゃいと
新しい浴衣を贈られた。
今までそんな風に、夏祭りを
楽しんだことがない俺は
嬉しくて泣きそうになった。
そんな俺の気持ちが分かるのか、
先生は優しく抱き締めて
頭を撫でてくれたんだ。
優しさに触れて生きる毎日を
この上なく愛おしいと切に思う。
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