SS置き場
□花火
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どーん
どーん
夜空には大輪の花が咲いていた。
川の水面にも移りこむほどの
鮮やかな色彩は心を奪うもの。
それと共に人々の喝采が聞こえる。
今日は地元の花火大会だ。
俺とニャンコ先生は夏の醍醐味を味わうべく
このお祭に来ていた。
まあもっぱら先生は食い気の方が勝っているのだが…。
「おい夏目!イカだイカっ!から揚げ!りんご飴!!」
「先生、五月蝿いよさっきから。
食べることばっかりじゃないか。
せっかくの花火大会なのに。」
小言を言うも全く先生は聞いていない。
いつものことではあるが。
「うおー屋台が私を呼んでいる!!」
鼻息荒く普段よりも一際気合が入った様子で駆け出した。
突然のことで捕まえることが出来ない。
「っ先生?!どこ行くんだよ、せんせー!!」
花火に見入っている人々の間をすり抜け、
急いで追いかけて行くが見失ってしまった。
「なんだよ先生…。先生が行こうって誘ったくせに。
このつぶれ大福にゃんこ!!」
しかしながら、もはや怒っても仕方ない。
こうなったら一人でも楽しもう。
そのうち合流出来るといいなと思いつつ花火に目を向けた。
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