かのこ本

□熱
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現在連載中の拍手話ですw






冷たい感覚に誘われるように
薄っすらと目を開くと、
見たこともない優しい眼差し。


不意に湧き出た感情に
心がざわめいた。



「熱1」




37度8分


手元の体温計は、平時よりも
高い数字を弾き出した。



「あれ〜夏風邪かねぇ…?」



道理で昨日から体調が
少しおかしかった訳だ。


一人暮らしをしてからと言うもの、
あまり食べないことが多くなってしまい
ここしばらくで数キロ体重が落ちた。


ふかふかで柔らかい身体は
女子として確かに必要かとも思うが
かのことしては生きる為には
食べなくてはいけない
という思いの方が強い。


誰かに見せるもんじゃないから
別に胸がぺったんこでもいいもんね!!
と心で思うかのこ。


それはそうと、
最近は食べるようにして
夏バテを防ぐように
努めて来たのだが…。

あぁ学生の本分は勉学だと言うのに…。

微熱くらいでへこたれている
場合ではない。


執念にも似た思いが
彼女の心を動かした。

チラリと枕元の時計を見やれば
時刻は7時40分。


そろそろ椿君が迎えに来る時間だ。

重たい身体を引き摺るようにして
かのこは身支度を始めた。





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