かのこ本

□The Star Festival
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拍手に置いていましたw
沢山のパチパチに感謝ですww




「The Star Festival:1」


プルルッ プルルッ

(こんな時間に誰からだろう…。)

(よいせっ。)

学校から帰って来たかのこは
暑さにやられてしまい、
ゴロゴロ過ごして、
もう夜の10時半過ぎ。

芋虫のように身体を
這わして携帯の所まで行った。

携帯を手に取ると、ディスプレイには
椿の名前が浮かんでは消えている。

プルルッ

ピッ

「椿君どうしたのさ〜?」

「かの、電話出るの遅えよ!」

不機嫌な声が耳に入ってきた。

「そんなこと言ったって
 こっちは暑さにやられてたんだよっ!!
 何?何の用?
 ってか名前で呼ばないでよ
 恥ずかしいから!!
 そんで用事ないなら切るけど。」

つっけんどんに言えば
「おまっ仮にも彼氏に言うセリフかよ!」
と呆れ気味に返された。

「そんな私を好きになった
 椿君が悪いんでしょ!?」

負けじと言い返せば
椿は突然くっくっと
嬉しそうに笑い出した。

「…何笑ってんの?」

「あははっ、お前最高だよ!」

「はぁ!?」

一体どこが彼の琴線に触れたのかは
分からないが、機嫌が
直ったことだけは分かる。

「それでこそ苗床だよな〜。」と
一人で納得し、うんうんと唸って
とても満足しているようだ。

半ば呆れつつ無理矢理本題に戻した。

「で、椿君どうしたのさ?」

「ああいけねえ俺としたことが…。
 かの早く下りてこい。 
 俺、今お前ん家の下にいるんだ。 」

「はぁ!?」

カーテンを開け、外を見ると
自転車に乗った椿が
笑顔で手を上げていた。

突然どうしたんだろう?

多少驚きつつも、早くと早くと
手招きされる。

急いでお出掛け用の
スカートとTシャツに着替え、
階段を駆けて行った。

何やら荷物を持っている彼が珍しい。

「急にどうしたの?」

駆け寄って問えば「内緒。」と言われる。

(内緒って…。
椿君子供みたいだ…。)

口に出すとまたとやかく言われるので
こっそりかのこは心の中で呟く。

「どこか行くの?」

「あぁ、まぁ乗れよ。」

腕を掴まれ促される。

そしていつものように
背中に寄り添うように乗った。




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