かのこ本

□恋人の定義?
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「恋人の定義?」



世のカップルの定義って何だろう。

ふとそんなことを考える。

何をもってして、
二人を特別な関係だと
世に知らしめているのか。

一番分かりやすく
手っ取り早い方法を考えてみる。

手を繋いだり、キスしたり…
確かにそれはすぐに
恋人同士だと分かる行為だ。

だけど四六時中そんなことが
出来るわけではないし
あまり人前で出来るものではない。

まあ俺は気にしないが、
苗床が嫌がるだろうな。

相変わらず適度な
距離を欲するあいつ。

好きな奴は独占したい俺からすれば
ちょっと寂しい。

あぁ何がいいだろう?

うーん……。

そうだ!!

何かお揃いのものを
持てばいいんじゃないか。

うんうんそうしよう。
それがいい。

恥ずかしがり屋の
あいつでも大丈夫そうだ。

一人で考えに耽り、名案だと
自画自賛していると、邪魔をする声。



「――ちょっと。」

何だよせっかく、
人がいいことを
思い付いたと言うのに。

「ちょっと、聞いてる?」

何だよ煩いなぁ。

煩わしそうに見やると
怒った姉貴の顔があった。

「ハル君、それっ 。」

「はぁ?」

「はぁ?じゃないでしょ!
 こぼれてるわよ、イチゴオレ。」

あれ?

そう言えばテーブルが濡れている。

紙パックを持つ手も濡れている。

制服が汚れなくて良かった。

「あぁ、悪い。気が付かなかった。」

手近にあった布巾で拭く。

考えに集中し過ぎて
気が付かないなんて俺らしくない。

俺は今、姉貴が用意してくれた朝食を
食べている最中だった。

しかも姉貴が目の前にいるのに
色々考えるなんて…。

……凄まじく危険だ。



「ハル君最近変じゃない? 
 一人でぼーっと
 考え込んだりしてさ。」

「そうか?
 そうだっけ??」

「そうよ!変よ!!
 ハル君彼女でも出来たの?!」


一瞬思いっきり
むせそうになったが
何とか耐えた。

今更こんなに動揺してどうする?!
シレッとした呈で、
堂々としていなくては…。

姉貴はすごい形相で俺を睨んでいたが
平然と答える俺。

「いや…。そんなことねえけどな。」

「嘘!!だって変じゃない?!

まだ追撃の手を
緩めようとしない姉貴。

姉貴の千里眼に
見抜かれると色々面倒なんだ。

心の中で盛大に溜息を吐く。

その時、何よりも
危惧していたことを言われてしまう。



「まさか!!!あの子じゃないわね??」

「…あの子?」

咄嗟に疑問で返してみたが、
“あの子”で思いつくのは
“あの子”しかいない。

「あの!!教室片隅系よっ!!」

すごい剣幕で迫る姉に
嫌気が差してきた。

教室片隅系って何だよ…。

俺の中では一番なんだが…。

ああ本当に煩いなー。

はぁと小さく溜息を吐く俺に
まだ何か言い足りないのか更に
詰め寄ってきそうな勢いの姉。

チラリと時計を見ると、
いい時間になってきた。

「俺行くわ、学校。」

「逃げないで!聞かせなさいよ!!
 ねえ、ハル君!」

またふうと、小さく息を吐いて
姉貴を見やると
せっかくの、一応美人なのに
台無しな顔。

少し可笑しくなって
笑ってしまう俺に不機嫌な姉。

逃げないで!か…。

逆に驚かせてやった方が追撃を
封じれるかもしれない。

あえて余裕綽々な笑みで返してみる。

「だとしたらどうするんだ?」

挑発するように言ってやると、
一気に血の気が引いたような
青褪めた顔になって
固まってしまった。

まるでサーーーーッという
音が聞こえそうだ。

っていうか失礼な姉だな!!と思う。

苗床の何が悪いのか。

俺にとって目に入れても
痛くない存在だというのに…。

若干腹を立てていると、
念仏のような声が
耳に入ってくる。


「嘘よね…。」と力なく呟くと、
ハル君はこんな顔しない、
こんなこという子じゃない…、
などと勝手に決め込む姉。

「ごめんね、
 まさかそんなことないわよね。
 疑って悪かったわw」

と一人で勝手に決めて
行ってらっしゃいと見送られた。

俺の作戦は上手く行ったようだ。

姉貴にとって
キャパオーバーな事由だった為に
あえて思考が遮断されて
しまったのだろう。

昔からそうだったんだよなー。

都合が悪いことは
あえて忘れる器用な脳だ。

弟の俺としては
それを最大限に
利用させてもらうだけだ。

少しほくそ笑みながら
苗床を迎えに行く。



本当はあいつが
彼女って知らしめたい。

だけど、苗床を俺は守りたい。

あいつを泣かせる奴は
姉とて容赦しない。

まあ逆に姉貴が苗床に
泣かされるかもしれないけど。

そんな未来を予想して笑みが零れた。




END

なんでもない話wすみません…。
でもこの後日談を
そのうちUP出来るかしら?
なんせペアリングとか
させたいわけですよ!!
ラブラブカップルだわ本当に。
というか椿君が溺愛やんw
いいねーーーー笑



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