かのこ本

□恋の代償
1ページ/5ページ

注:椿君はまだかのちゃんへの
嫌がらせ、熱烈レターの存在を
知らない設定です。


「恋の代償1」



“このブス、椿君に近寄るんじゃねーよ!”

“調子に乗るな”

“迷惑だと思ってないの?!”

“仲良いからって思い上がってるんじゃない?!”

“全然、全くもって、つりあわないから!!“


ふーーっ。

つい最近までなら正直何とも
思ってませんでした。

…ゆする、いやいや!

お願いに使えたりするかなーw
とか軽く思って――
いや、まぁ、正直なとこ、
ゆすりに使えると思っていました(爆)

そんで使ったこともあったし。

実際、便利だな〜としか思ってなかった。

最近まではそう思ってたんだけど…。

今改めて見返してみたら、正直、へこむ。

こんなことなら捨てときゃ良かった、
なんて今更後悔するなんて。


椿君から告白されて、
私自身すごく戸惑って
…だけど受け入れた。

受け入れたものの、
正直未だに分からない。

椿君の心の琴線に、
なぜ私が引っかかったのか、
宇宙の果て、地獄の深淵ぐらい不明。

だけど、からかってる訳でも、
冗談でもないらしいことは、
確かなようで――

あまりそれを言うと怒られて、
信用がないのか?と
あの!
王様の椿君に、悲しげな辛そうな表情を
させてしまうので、もう言うまいと
心に決めたところだ。

まあ、それはいいとして…。

靴箱の“私へのラブレター”に、
今更へこまされるとは…。

今まで傍観者だったからいいものの、
今ではすっかり観察の対象者に
なってしまった。

高みの見物だったから良かった私も、
実際、当事者になると色々面倒だ。

元来強い性格で、何があっても
ビクともしない私だが、
近頃、私のアイデンティティを
崩壊させるような出来事が
ありすぎて、今、とても、脆いと思う。

驕った人間を戒める為に
神がバベルの塔を破壊した話のように
私も今、精神的に破壊されたように思う。

原因は紛れも無く、椿君だ。

だからって悪い意味ではないが。
それぐらい衝撃的だったのですよ。

本当に!!
恋愛とか関係ない話だと思ってた訳で。

ドキドキする!とか、ときめくwとか、
そんな感情なんて感じるだけ
ナンセンスで寒い!とか思ってたし。

椿君曰く、それは思い込みの産物。
この現代日本が抱える、
負の遺産レベルくらい根が深い、
思い込みらしい。

どんな思い込みだよ!
てなつっこみはまあ置いといて。

その思い込み、簡単に言うと
心のストッパーが無くなって
本当に揺らいで仕方ない。

前まで何とも思ってなかったことを
意識するようになったりと
目まぐるしく変わる自分の感情に
ついていけない。

いつも冷静に物事を
判断していた私なのに
それが上手く出来ないなんて…。

自分に色んな感情があるって
分かって驚いてる。

決して悪いことではないと思う。

冷めた感情しか持っていない
なんて人間じゃないし。

この“目まぐるしく変わる感情”
を教えてくれた椿君。

いつも気付かされることが多いが、
これはある意味で究極の気付きだ。


とまあ、うだうだとここまで述べましたが、
ぶっちゃけ、なんせ、へこんでます。

この手紙くれた人たちの言うとおりだよ。

はーーっ、なんで私なの??…椿君。



誰もいない部屋の片隅で、
仰向けに転がり天井を見つめた。



NEXT

改めて思い直すと
凹むことってありますよね?
人事ではなく当事者だからこそ
へこむとか。
立場が変わると考えが変わる、
そんな経験ありますよね。
まあかのちゃんにもご多分に漏れず
体験してもらおうと思ってw
そして椿君への思いも、
自分から話して
もらえるように頑張りますw
ではまたーーーw
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ