かのこ本

□校門前にて…。
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「俺、苗床の彼氏になったから。」

どうだすごいだろ!と
言わんばかりの自慢げな表情。

念願叶った彼にしてみれば
それはそれは嬉しいことだろう。

だけど、ちょっと心配です。

私の本当に大切な大親友のかのちゃんが…。

「いつからなの?」

「一週間前から。
 花井は聞いてなかったんだな。」

「そんなことなかなか言えるものじゃないよ。
 それにかのちゃんは優しいから。
 そっか…一週間前か。
 電話で話してて、ちょっとおかしかったから
 気になってたんだけどね。」

「おかしかった?」

「うん、何か言いたいことあるのに
 言い出せない!って感じかな。
 会いに行きたかったのに
 補習続きで無理だったの。」

涙目になる桃香。

「相変わらず補習受けてるんだな…。」

入学してそんなに経って無いと言うのに
補習とかあり得ない!!と心で叫ぶ椿。

「かのちゃんが教えてくれてた時は
 こんなことなかったのに。」

「あいつ頭良いし、努力家だからな。
 そりゃ出来が違う。」

何でも自慢げに話す椿が少し面白い。

「すっかりかのちゃんの“彼氏”なんだね。」

「あぁ。
 妬ける?」

悪戯な笑みを浮かべる椿に
小さく笑って「そうだね。」と返した。

「でも大親友は私だから。
 そのポジションは私のものだよ。」

「俺は彼氏。」

「ふふ。」

「何だ?」

「何か立場が変わったね。
 前は私とかのちゃんが仲良くしてると
 すごくイライラしてて
 嫉妬ばっかりだったのに。」

過去を思い出し、はぁとため息を吐く椿。

「本当に苗床は桃ちゃん桃ちゃん
 ばっか言ってたからな。
 花井の前ではキャラ違うし。
 本当にうざかった。」

「うふふ。」

「笑うなよ!
 お前が男じゃなくて本気で良かった
 とか思ってたんだからな。」

「そんなに?
 まぁそれは心配ないから。」
 
「当たり前だ!」

「でも、椿君。」

「…何だ?」

あらたまった様子の桃香に
何故か不安を感じる。

「かのちゃんを泣かせたら許さないからね。」


花が咲いたような笑顔を乗せて、
言われた言葉に背筋が少し寒くなった。

先ほどのギャップも相まって相当のダメージ量。

「当たり前だ!
 あいつを一生大切にする。」

「おぉ、すごいね。」

「バカにしてんのか?」

「そんなことないよ。
 だけどね、かのちゃんの
 可能性だけは狭めないでね。」

その言葉に少しムッとする椿。

「前も言ってたよな。
 未だに俺は無理。」

「椿君。」

窘めるような咎めるような声音に
少し背筋が伸びる。

「だけど努力はするよ。
 あいつの為になることならな。」

大いに不本意ではあるが、
ここは一つ穏便に済ませた方が得策だ、
と思った椿は一応歩み寄る態度を取る。

「ありがとう。
 椿君、かのちゃんを大事にしてね。」

優しい、天使の微笑み。
まるで花が綻んだような笑顔。

だが――

(誰よりもこいつを怒らせると怖そうだ…。)

その笑みに隠された真実を知ったようで
柄にも無く怖いと思った椿であった。

END



(おまけ)

遠くから走り寄ってくるかのちゃん。

「桃ちゃん来てたの?!」

「かのちゃんに会いたくて。」

にこっと必殺天使の微笑み。

「うおーーー桃ちゃん会いたかったよぉ〜〜。」

抱きつくかのこ。

「もう、かのちゃんたらw」

いちゃいちゃする二人にイラッとする椿。

(こいつにはぜってえーー負けねえ!!!!)

強く拳を握った。


END

桃ちゃんようやく出しました!

キャラこれでいいの??爆!

でも桃ちゃんだからこそ
椿君に言いにくいことも言えると思ってます。

かのちゃんの幸せを本当に願ってるはず!

二人の良き理解者として助けになってくれると思う。

これはララデラ五月号で、桃ちゃんが校門で
椿君と話していた話から思いつきました。

周りからはカップルと勘違いされているのに
内容は全く甘くない!というギャップ笑

そこがいいかなーwと。

「勘違い」から一週間後くらいの話を想定しています。

ええ加減、夏草氏を出さねば笑


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