かのこ本

□一人じゃないから
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こいつはいつも大事な時に人に頼らない

……俺に頼らない。


「椿君、いい加減機嫌直してよーー!
 ごめんてばっ!ねえ!!!!」


「………。」


夕焼けが綺麗な学校の帰り道。
彼女の声に耳を傾けずにすたすた歩く。

無視。
俺は怒ってるんだ。

自称傍観者であるらしいこいつ。
相変わらず一人で突っ走って、事件に首を突っ込んで。
上級生相手に一人で勝負を挑むようなことをしていて…。

確かにこいつは強いし負けてない。
だけどもっと自分を大切にして欲しいと思う。
というか俺の身にもなれ。
俺にとって一番大切な存在が傷つけられるなんて耐えられない。
何よりも好きな奴の力になりたいと思うのは当然だろう。
でも残念なことに全くこいつは気付いてない。

どうすればいいのか…。

いつも未遂に終わるキス。
このお子様をどうにかしてくれ。

「……はぁ。」

色々考えていたらため息が出た。

「…椿君本当にごめん。」

いつの間に追いついたのか、
俺の制服の裾を引っ張って、呟くように言われた謝罪の言葉。

そんな声音で言われるとこれ以上怒ることは出来ない。
こいつがこんな風に言うなんて珍しいと思う。
少しずつではあるが俺に対して態度が変わってきたように思う。

歩みを思わず止め、手を引いて抱きしめた。

「つ、椿君?!どしたの?!」

突然の事態に身を固くするかのこ。
状況が飲み込めずに混乱する彼女の耳元で囁く。

「これからは一人で何でもしようとするな、俺に言えよ。
 俺はお前が大切なんだ。」

態度で伝わらないなら言葉で伝えたい。
だが…。

「椿君…急にどうしたのさ。何か優しい椿君が怖い…。」

そんな彼の気持ちに全く気付かないかのこ。

眼鏡の下の瞳に若干の怯えを感じ取って腹が立った。
こいつはーーーーーーー!!!

「可愛くない奴!!俺を何だと思ってるんだ!!!」

「っんな?!可愛くなくていいもんねーーー!!!」

そして取っ組み合いのケンカ。
いつも通りのいつもの光景。

いつか必ず好きと言わせてやる絶対に!!


END

本当に何でもない内容ですな。
根本は椿→かのが良い!!
頑張れ美少年!


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