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□『その時には。』
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草を踏みしめ、たどり着いた目的地。
誰もいないそこ。
汗だくの私。

あふれ出すは黒い感情と、止まらない涙だった。
それは汗とともに、顔から滴り落ちて草の葉へと落ちる。


「ふぇ…っく…。」


声が抑えられない。
何かがまた溢れてくる。
ああ、私…好きだったんだ。
気がつかなかっただけで、好き…だったんだ。
流れる水の音が、きっと今を消してくれるから。
だから思い切り今は泣くよ?

君を卒業できるまで。
君と普通に話せるように。

とめどなく落ちる涙。
どうか足元の草だけでも知っていてほしいだなんて、きっと私のワガママだろうけど。

そして、涙が枯れるまで。
私は気付いた想いに包まれることにするよ。
明日からは別の私。

本心を見せることがない、嘘の私の始まりだから。


「大好き…だよ?
 岳人。」


小さく呟くコトノハは、本当だから。
もう一生口をつくことのないそれは、とても悲しい音がした。
頬伝う涙が、そっと地に染み入るような音が。



+++ END +++


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