nodame

□痺れる手先
1ページ/2ページ



今日は千秋君のコンサート成功を祝してのディナーパーティー。


千秋君の家かと思いきや、今回は趣向を変えたのか、恵ちゃんはちょっと雰囲気の良いレストランを選んだ。


まあ、例によって千秋君はまだ来ていない。


「ではでは、先輩のコンサート成功を祝しまして、かぁんぱぁーい!!」


恵ちゃんが音頭を取り、みんなのグラスにコツンコツンぶつけた。


「恵ちゃん、まだ千秋君が来てい」


「あーあー、ヤス、良いんだよー!飲もうよー!」


向かいに座っていたフランクが、まだ並々と入っている僕のグラスにこれでもかと注ぐ。


「ち、ちょっと、フランク!」


僕は慌ててフランクの手を押さえ、ボトルを取り上げ、テーブルに置いた。


ブーイングが聞こえる気がするが、聞こえないふり。


「はぁ…。」


僕は少しため息ついて、目の前のチョコレートに手を伸ばそうとする。


なんでいつも僕は損な役回りなんだ…。


さあ、美味しそうなチョコレートを摘もうとした時。

「あっ、」




触れた手と手。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ