nodame
□痺れる手先
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今日は千秋君のコンサート成功を祝してのディナーパーティー。
千秋君の家かと思いきや、今回は趣向を変えたのか、恵ちゃんはちょっと雰囲気の良いレストランを選んだ。
まあ、例によって千秋君はまだ来ていない。
「ではでは、先輩のコンサート成功を祝しまして、かぁんぱぁーい!!」
恵ちゃんが音頭を取り、みんなのグラスにコツンコツンぶつけた。
「恵ちゃん、まだ千秋君が来てい」
「あーあー、ヤス、良いんだよー!飲もうよー!」
向かいに座っていたフランクが、まだ並々と入っている僕のグラスにこれでもかと注ぐ。
「ち、ちょっと、フランク!」
僕は慌ててフランクの手を押さえ、ボトルを取り上げ、テーブルに置いた。
ブーイングが聞こえる気がするが、聞こえないふり。
「はぁ…。」
僕は少しため息ついて、目の前のチョコレートに手を伸ばそうとする。
なんでいつも僕は損な役回りなんだ…。
さあ、美味しそうなチョコレートを摘もうとした時。
「あっ、」
触れた手と手。