+Novel+
□お泊まり会
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―――さっきまでとは打って変わったこの真剣な瞳。
胸がどきどきする…
「………ベラ」
エドワードはあたしの名前を呼ぶと、ゆっくりと右手を持ち上げ―――あたしの頬に触れた。
思わず体がビクッと反応する
エドワードが触れたところから電流が走ったみたいに、ぞくぞくする。
エドワードはあたしの反応を見ながら、まるで壊れ物に触るかのように―――エドワードからすればあたしは充分壊れ物だけど―――そっと指で肌を撫でる。
エドワードの指は冷たいけれど、あたしの肌は熱くなる。
単純にエドワードの指は気持ち良かった。
エドワードは頬に手を添えたまま、あたしに顔を近付けてきた。
昼間のキスを思い出して固くなる。
けれどエドワードはキスはしないで、あたしの鎖骨のくぼみに唇を押し当てた。
―――エドワードの髪は良い匂いがする…
エドワードの中で一番人間らしい赤銅色の髪に顔を埋めながら、甘い香を胸いっぱいに吸い込む。
それからエドワードはゆっくり慎重に、首、耳元、瞼、額、鼻の順番にあたしにキスをした。
エドワードの冷たくて甘い吐息が鼻先をくすぐる。
「………く……」
堪え切れなくて、つい声が漏れてしまう。
あたしの声を聞いたエドワードが、心配そうに顔を覗き込んでくる。
「ベラ、どうした?」
「く…すぐったいのよ…!」
顔を真っ赤にして訴える。
エドワードは声をあげて笑い出した。
「な…何がおかしいのよ!!」
「くっ…くくくく…ふ…あはははは…!」
「エドワード…!」
こんなに笑ってるエドワードは初めてかも。
てゆーか失礼でしょ!
「…もうっ!何よ馬鹿にして!」
あまりにも酷すぎるエドワードの反応に、とうとうあたしの堪忍袋の緒が切れた。
ベッドの足元に置いておいた自分のお泊まり道具を掴み取り、笑い転げているエドワードを放って部屋のドアノブに手をかけた。
けれどドアは全く開かない。大きなコンクリートに押さえられているみたいに。
その正体はやはりエドワードで、さっきまで大笑いしてたのにも関わらずドアを手で抑えていた。
「………離してください。」
「いやだ」
「あたし本当に怒ってるんですけど」
「ごめん、ベラ」
「反省してないわよね」
横目でキロリと睨むけど、エドワードは意に介さない様子。
「悪かったよ、ベラ。ほら、荷物おいて」
「あたしもう帰る」
可愛げがどうかなんて関係ない。
本気で怒ってるって分からせなくちゃ。
「ベラ…」
「荷物離して。帰りたいの!」
「いやだ」
今度はあたしがため息をついた。
「エドワード…いい加減にし…」
そう言いながら振り返ると、思ったよりエドワードの顔は近くにあった。
「…エドワード…」
「返さないからね」
そう言うと、エドワードは問答無用であたしを抱き抱えてベッドまで運んだ。
「ちょっ…エドワード!」
あたしの非難の声には耳を貸さずに、エドワードはそのままあたしをベッドに押し倒した。勿論自分の体重はかからないようにしながら。
「エ…エドワード…」
―――さっきから何なのよ!
こういうことには凄い反対してたじゃない!
エドワードの突然の変貌ぶりに、あたしはおどおどするしかない。
「…気が変わったの…?」
「………」
エドワードは質問には答えない。
ただ真っ直ぐに、あたしを見つめていた…。
TO BE CONTINUDE…