+Novel+

□ある日の二人
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くつくつと鍋の中身が煮え、白い水蒸気と共にほのかな香りを空気中にばらまいてゆく。

コンロの火を止めると、郁は肩越しに振り向いた。

「篤さーん、ご飯できたよー」

二人で暮らし始めて一ヶ月。
久しぶりの公休は、丸一日部屋でゴロゴロすることになっていた。

声をかけて暫くすると、半袖のシャツにスウェット姿の堂上が寝室からのそのそと現れた。

昨夜は遅くまでよろしくやっていたために、郁が目覚めたのは正午近くだった。
勿論堂上はずっと寝ていた訳で。

「おはよう」

普段の勤務態度からは想像出来ないような堂上の姿に、自然と溢れる笑いを止めることは至難の業。

「ちょっと待っててね、今よそうから」

「…郁、」

「ん?なに…」

名前を呼ばれて振り向けば、急に奪われる唇。
ちゅ…と音を立てて離されると、また直ぐに合わせられた。

啄むようなキスの繰り返し。
次第にそれは角度を変えて長く、深くなっていく。

息継ぎの為に一瞬離れた唇を見逃さず、郁は急いで呟いた。

「…っ、ご飯冷めちゃう」

「あとで温めればいいだろ」

「…で、も」

「俺とこうしてるのと、飯食ってんのどっちが良いんだ?」

―――ずるい。

むっと目の前にある瞳を睨み付けてみるが、全く意に介していない。

そうしてまたキスをされて、でも今度は郁も黙ってキスに応えた。





結局それからズルズルと流されて、郁が目覚めたときには夕日が地平線に沈まんとしていた。

ベッドの中で白いシーツに巻き付いて。
免疫のない郁にとって、それはとてつもなく恥ずかしいことなのだ、顔を見事な紅に染めていると、先に起きていた堂上が寝室のドアから中を覗いた。

「…起きたか」

「…篤さんのエロ親父」

精一杯の憎まれ口を叩くと、明るい笑い声が返ってきた。





「肉じゃがが唯一まともに作れるみたいなんです、あたし」

夕飯で、昼に食べる筈だった料理をつつきながら郁は告白した。

「美味いぞ」

「結構今日は上手くできたんです」

篤さんに食べさせるって思ったからかなぁ、なんて笑った郁に、

「あんま可愛いこと言ってると襲うぞ」

と言ってやったらまたしても顔を紅くしていた。
















(さっきもしたじゃないですか!)
(あんなんで俺が終わるとでも思うか?)

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

aikoさまに捧げます、5000HITキリリクです。

最近堂上がただのエロ親父になっていく…(爆)

aikoさま…こんなんしか思い付かなくてスミマセンOrz





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