+Novel+

□未来
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当麻亡命事件も終焉を迎えて早1年。
亡命事件での考課がついたおかげで郁は無事三正への昇任試験に合格。言う間でもなく手塚と柴崎も余裕で合格し、堂上と小牧も一正に昇任した。

あの事件の後郁と堂上はようやく恋人同士になり、しかしそれまでの道程が果てしなく長かった二人に周囲の反応は様々だった。

「あんたたち見てると相当歯痒かったのよ、こっちは」

あ〜長かった、と付き合うことになったのを報告した郁に対し、柴崎はベッドの上でわざとらしく大きな欠伸をしてみせた。














Swear















「あの…堂上教官、ちょっと良いですか?」

一日の仕事も大方終わり後は班の日誌に目を通せば帰れるころに、若干頬を赤らめた郁が堂上の机の横にやって来た。

「なにした」
「いや、何もしてません」

昔から何かとヘマをやらかす郁のフォローに回っていたからつい癖で言ってしまい、郁は頬を膨らませて反論してくる。

「次の公休なんですが…」

あぁ、そのことか、と反応しながら、今更になっても二人で出掛ける予定を話す際に照れている郁が可愛いな、と思う。

丁度日誌の確認も終わったので、椅子を回して郁に向き合う形にする。

「どこか行きたい場所とかはあるのか」
「それが…何も思い浮かばなくて…」

赤かった頬が更に鮮やかに染まる。
だから相談してきたのか。

「教官はありますか?行きたいとこ…」

…まただ。

いつまで経っても直らない郁の癖に小さく息を吐けば、教官?と小首を傾げて顔を覗き込む。

「……郁」
「はい、」
「いい加減プライベートでそれはやめろってこれで何回目だ?」
「…ぁ…すいません、きょ…」

言った側からまたやらかしそうになり、郁は慌てて口を塞ぐ。

「ごめんなさい…あ…篤…さん」

さっきとは比較にならない程顔全体を茹で蛸のようにして、俯きながらぼそぼそと応える郁が堪らなく可愛かった。

「俺も特に行きたい所はない。次の公休まで時間あるし、考えとくよ」

そう言ってやると、はい!と元気良く返事をして郁は事務室を出て行った。





その日の夜、毎度の事ながら小牧が酒持参で堂上の部屋を訪ねてきた。

「で、結婚しないの?」

酒の缶を煽っていた堂上は文字通り酒を吹き出した。

「なっ…なにを…!」

ごほごほと咳込む堂上を余所に、小牧はずっとニコニコしている。

「何ヶ月?」
「……1年」
「笠原さん入隊してからもう5年でしょ?そろそろ潮時じゃないの?」

結婚するならさ、とさきいかを摘んで口に放り込みながら付け足す。

「結構みんな気にしてるよ。堂上がどう出るのかって…意思はあるんだろ?」

長年愛用してきた机に呑ませてしまった液体を近くにあったティッシュで拭いながら堂上は小さくあぁ、と呟いた。

「…けどあいつはそのつもりじゃないかもしれん」

そう続いた言葉は小牧の予想に反していたようで、あからさまに目を剥いてそれは違うんじゃないか?と異論を唱える。

「……そうだとしても、俺たちが結婚するには問題があるんだよ」

え、なんで、と問い返す小牧を見つめながら、堂上は目を伏せた。














TO BE CONTINUDE…
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