小説
□ぉ
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いつから一緒だったろうか
いつものようにウォーグルの背に乗って街から街への移動をはかる
今は冬だから、多少は寒いがウォーグルの体温がそれを紛らわしてくれる
だが如何せんワシボンの時のように、なにか柔らかいものがあるわけではないから少し痛い
「柔軟剤使って、羽、洗うか」
呟きは風に掻き消されたかのように思われたが、ウォーグルには聞こえていたようで、ギロリと睨まれた
「冗談だよ」
そんなことしたらきっとNに殺される
そう付け足したら、呆れたように鳴かれた
短い空の旅も終わりに近付き、ホワイトフォレストが見えてきた
ここの村長さんがハネッコが欲しいなどとほざいてきたものだから、必死に探してやっている
手持ちの先頭は勿論ウォーグル
少々打たれ弱いがレベルは高い
草むらからポケモン飛び出してきた
思えば最初の頃はポケモンが飛び出してくる度驚いていた
ボールからウォーグルを出す
お目当てのハネッコではなかったから倒してしまおうかどうか悩んだが、そのポケモンがあまりにも可愛い風貌なものだから仕方なく戦闘から逃げ出す
相変わらずウォーグルは呆れたような目で俺を見つめるが可愛いものは仕方ない
「まぁ、この世で一番可愛いのは、Nだけど」
いい加減にしろ、と言わんばかりにくちばしでつつかれる
それでもなんやかんや言って優しいつつき方なのは、俺をキチンと認めてくれているからだろう
「よし、ウォーグル、次の街に行こうか」
一向に見つかりそうもないハネッコを探すのに嫌気がさして言う
そうすれば、ウォーグルは背を屈めて俺を乗せる
目的地などもう無いが、たまにはずっと空を飛んでいるのも悪くない
いつまでも一緒だろう