REQUEST

□誘?
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窓から注ぎ込まれる眩しいほどの陽光


それに伴って聞こえてくる鳥の囀りと葉の擦れ合う音







「ん…………」





そんな中、辺りで一番上等な旅籠で目を覚ましたのは一匹の鬼










「…………」



上体を起こして視界をさまよわせ、枕元でとめる



その先には酒瓶………






鬼は無言でその酒瓶を手に取ると、一晩放置していたせいで温くなった中身を煽った





ト、ト………








酒を煽っていると聞こえてくるゆっくりと床を踏みしめる音


気配を探れば、それはよく知っていたモノで………





暫くすると、その部屋の前で止まり、ドンッという音がして一拍後
襖が開き、息を荒くしたひとりの青年が現れた




「あ、狂起きてたんだ?おはよ」


「…………京四郎……」




狂が一言発せば、京四郎が床に置いていたらしい何かを抱えて入ってきた






「お酒、もうなくなると思って買ってきたよ」



京四郎が両手いっぱいに抱えていたのはいくつかの酒瓶だった



はい、と狂のそばにそれらを置くと、一旦入り口に戻って、開けっ放しだった襖を閉めて布団の横に腰を下ろした





狂は、先程呑み干した酒瓶をそこらに転がし、京四郎がたった今持ってきた新しい酒瓶に手を伸ばした








「………よく起き抜けにそれだけ呑めるよね……ι」


「うるせぇよ下戸が……」




京四郎を一睨して、一気に中身を煽る

その様子を見て、京四郎は微かに溜息を洩らす





「………なんだよ……」


「いや、別に………ただ昼間からよく呑むな……と、」


「悪ぃか……文句があるならお前も呑めばいいだろう」



「いや僕は………ング!!?」









 
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