戦国無双捧げ物
□ほら、笑って!
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――はた、と気付けば、俺はおねね様に腕を引かれ、なんだかよく分からない空間に押し込められていた。
「ふふふっ、三成と撮りたかったんだよ」
隣で己の腕に自分の腕を絡ませながら嬉しそうに笑う彼女に、三成は僅かに頬を染めてぷい、っとそっぽを向いた。
「お…おねね様!ここはなんなのですか!?」
周りを見れば白い幕に覆われ、外からは足元が辛うじて見えているだけのようだ。空間自体も狭く、必然的に二人は至近距離で並ぶ事となる。
…並ぶ?
三成がふとそう思ったとき、隣にいたねねが苦笑気味に言った。
「やだねぇ、三成ったら。プリクラだよ、知らないの?」
「はっ…ぷり、くら?」
「そうそう、ほら、清正や正則なんかとも撮ってるんだよ?」
そういうと、ねねは小物入れを取り出し、蓋の裏側を見せた。
なるほど、そこには小さな四角い紙のような物が貼られ、彼女と二人の顔見知りが笑っている。
「三人で出かけた時に見つけてね、記念に撮ったんだよ。三成のは一枚もないし、一緒に撮ろうよ、ね?」
ニコニコと笑う彼女に、なんだか三成は複雑な思いになる。屈託なく笑う相手に密かに溜息を吐くが、次の瞬間、彼女の言葉に頭を殴られたかのような衝撃を受けた。
「…せっかく、恋仲になれたんだから」