テキスト
□違和感
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なぜだか今日はヒバリの機嫌が悪い。
俺が応接室に入ってくるなりいきなり攻撃を仕掛けてきたし、一言も口をきいてくれない。
違和感
「なー、ヒバリ?
俺なんかしたっけ?」
無言で俺を睨んでくるヒバリ。
それでも無視されないっていうことは俺に怒ってるわけじゃねーのかも…
それにしても、目を細めたヒバリはすごく艶っぽい。
ヒバリ本人にそれを言えばきっとトンファーで滅多打ちにされた後に応接室から追い出されるだろうから決して口にはださないけど。
そういう表情も好きだなー、
なんて考える俺は相当重症かもなー…。
ヒバリがやはり無言でコーヒーに口をつける。
「…ッ、」
俺はその瞬間を見逃さなかった。
ほんの一瞬だったけど、ヒバリの表情が…、歪んだ。
あれ?ヒバリってコーヒー飲めないんだっけ?
コトン、と何もなかったかのようにカップが置かれる。
ほとんど飲まれていないコーヒーを見て、俺はひとつの仮説を思いついた。
間違ってたら大怪我だな、なんて思いながら
「…ヒバリ、こっちむいてよ」
ヒバリが座っているいすに近づいて声をかける。
「なぁ、ヒバリー?」
ヒバリが何もいわずに俺を睨みつける。
このときを、待ってたんだ。
「…!?んぅ…ッ……んン…」
ヒバリの口にキスを落とし、すばやく舌をすべりこませる。
ヒバリの歯列を舌でなぞる。
「んんんんーッ!!!!」
ドンッとヒバリが強い抵抗をしめす。
いつもなら俺はこんなところじゃやめてやらないけど…
やっぱり、か。
目の前のヒバリは口を押さえて涙を堪えていた。
「…ヒバリ、歯医者に行けよ」
「……ヤダ。」
思ったとおり、ヒバリは虫歯に耐えていたようだった。
「…こんなの、全然痛くない」
「何、もう一回キスされてぇの?」
いつもならトンファーが飛んでくるところなのに、ヒバリは俺の言葉にビクリと震えた。
それだけ拒否されたらちょっとへこむなー…
この分だときっとヒバリが自分から歯医者に行くことはないだろうなぁ…
俺が連れて行くしかないか。
そこまで回転のよくない頭で、今後の計画を立ててみる。
これほどの痛みを絶えてまでもヒバリが嫌がるからにはよほど歯医者が嫌いなのだろう。
骨が折れるな、と
苦笑がもれた。
俺の笑みに、ヒバリが再び震える。
涙目のヒバリにこれ以上何もできないなんて俺がつらいし、な?