小説執筆2
□灰いろ
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「あっ」
モンスターを退け、いつもなら勝利にはしゃぐジタンとバッツ(心の中でたまに騒音コンビと呼ぶことは誰にも言えない)が、珍しく大人しい。
何かに気付いたように声をあげた後、こちらを振り返る。
「紫色の欠片だ」
クリスタルが手元を離れ光るのと同時に、一番の頭痛。
いや、額の傷に、走る痛み。
その痛みが消えたと自覚するよりも前に、俺の脚は地を蹴り、しまう間もなかったリボルバーを光に目掛けて振り下ろしていた。
金属がぶつかり合う劈くような音、仲間達の間抜け顔、
「よぉスコール、久しぶりだなァ」
「やっぱりアンタか…」
人を挑発するように笑う、鏡写しのような傷をつけた奴。
「お、おぉおおおい、スコールお前何やってんだよ!」
「本当だぜオイ、マジで殺すつもりか?」
「うるさい」
ジタンの焦る声に、大げさに嘆くような仕草をしながらも目も口も笑いに歪んでいる奴のハイペリオンから伝わる力は弱まるどころか、軋むような音をたてて押し返してくる。
「なんでコスモスはアンタなんか…どっちかって言うとカオスだろアンタ」
「おいおい、カミサマの言うことにケチつけても仕方ねえだろ?素直に会えて嬉しいって言えばいいものを」
「相変わらずお目出度い頭をしているな。一度切り開いて診てやった方がいいと思っていた」
「落ち着けっつーの怖いわ馬鹿!!!」
ジタンの怒声と同時に噴出すフラッド。隣のバッツがやったようだ。
お互い後ろへ飛んだせいで、間合いが届かない。
「お前らなんなの!?」
「知り合いだ」
「ながーーいお付き合いをしてるオトモダチだよ」
「知り合いも友達もいきなり殺し合いは始めません!!お前ら武器しまえ今すぐ、すぐ!!」
ジタンはこうなると少しうるさい。仕方なくリボルバーを引っ込めたら、奴も何とも無い顔をしてハイペリオンをしまいこんだ。
「悪かったよ、条件反射でつい」
「一応聞くけどあいつコスモスに呼ばれたんだよね?」
「らしい」
「え、じゃあ仲間だよね?」
「………はぁ」
「ため息やめろ」
消えたと思っていた頭痛が蘇った気がする。
「おもしろそーな奴じゃん」
「そうスかねぇ…なんか親父に似た空気感じるっス…」
背後でボソボソ言ってる仲間達に、またため息。
「ま、これからヨロシク?」
「チッ」
「もう何なのほんとお前ら…」
これから本当に頭痛に悩まされそうだ。