小説執筆2

□灰いろ
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綺羅と輝く旋律の一つ一つを集めながら、世界の均衡を修復する。
未だどういうことなのかよくわからないが、それが課せられた任務ならと騒がしかったり大人しかったりする連れ達と様々な場所を周るうち、同様に様々な色をしたクリスタルの欠片が手に入ることが増えた。
一応、各々で適当に色を選び欠片を預かっている状況だが、これが何かの役に立つのか否かはまるでわからない。

そんな何もかもが俺たちにとってはっきりしなかったはずのこの世界で、俺は顕著な頭痛に悩まされていた。

それは、例のクリスタルの欠片を手に入れた時から始まった。
とりあえず、と預かった紫色の欠片。
手に取った瞬間、じくじくとした気持ちの悪い痛みが走った。痛みというより、不快感と言った方が近かったかもしれない。
戦闘に支障を来すほどでもなかったので無視をして、歩を進めていれば欠片は徐々に集まっていく。
2個、3個と手にするうちに不快感は頭痛になり、ケアルでもポーションでも万能薬でも治らなかった。
痛いのは痛いが、意識ははっきりしているし戦闘となれば集中するのか体を動かしている間は不思議と気にならなかった。

ある時、ある欠片が8個集まった。
1つ1つが光の塊になって、一瞬で人の形になり、瞬きの間にそこには本当の人間が居た。
新たに召喚された戦士らしい。
そして突然ティーダがそいつに駆け寄り、騒ぎ始めた。自分の知り合いだと言う。

だが、俺達に外に関する記憶はなかったはずだった。
それが突然蘇り、新たに召喚された人物もティーダのことはわかっているようだ。

「じゃあ、これをどんどん集めていけば仲間が増えるってこと?」

ようやく事態に収拾がついたころ、オニオンが手にした欠片を見ながら言った。

「どうやらそうらしい。」
「カオスの軍勢にも同じようなことが起きてるとか…あるのかな?」
「可能性は無くは無いが、奴らにお互い協力するような真似が出来るとは思えん」

「何はともあれ、俺のことを知ってる奴が来るかもしれないってことか…」

浮き足立ち始めた仲間達を尻目に、俺には嫌な予感が付きまとっている。
痛いし、不快だ。全てはこの欠片を手にしてから。
それが今では、手元に7個。

「……はぁ」

嫌な予感ほどよく当たるという俗説は、知っている。
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