小説執筆2
□あつい
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「…あついんだが」
「ブフッ!!」
「なんで笑うんだ!」
「いぃやあ?フッ、クックック」
ムカつく…!?
人が真面目に仕事をしているところを邪魔しておいて、この男…!!
温暖なバラムには珍しい肌寒い日に冷たいデスクで冷たい紙相手に眉間にシワを寄せていたらコーヒーを置くついでに後ろから背もたれごと抱き締められた。いや抱き締められたというよりは何か覆い被さられてると言った方が近いかもしれない。
特に何を言うでもなく、咎める俺を宥めるでもなく、それはもうピッタリとくっつかれて早数分。
「あついんだよ」
「……ふ、」
「いつまで笑っている!」
苦手だ。例え世間で言うところの恋人同士なんて関係になろうと俺はこの男、サイファーが苦手だ。(ちなみに嫌いと苦手は全く別の話だ)
いつもいつも見透かしたような顔や声や行動のこの男が。
「なぁスコール?」
「…なんだ」
「さっきからお前の言ってるあついってどっち?」
暑い?
それとも、熱い?
……だから苦手だ。
「首と耳が真っ赤だぞ、わかりやす痛ぇ!!!」
「あまりにも言葉が通じないから、つい」
「だからって人の腕もごうとするなよ!」
「折ろうとしたんだ」
「同じだ馬鹿野郎」
馬鹿はどっちだこの野郎。